前説

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ああ〜このバンドはフェス向きだなーと思うバンドと、フェスでお客さんを集めるってところとは違うところで勝負しているよなーと思うバンドがいる。

大まかな流れとして、ライブとかで「踊ろよ」と言って、踊ることを推奨するバンドは、フェスのことを意識している率が高いと思う。

でも、フレデリックって、踊るという要素と距離が近いバンドのわりには、どこかフェスのムードと違うところで音を鳴らしているバンドだよなーと思うことが多い。

本編

フレデリックの不思議さ

どこかレトロさが漂うというか、わかりやすい形でライブキッズを盛り上げるバンドとは違うというか。

個人的な感想として、「VISION」は「飄々とエモーション」以後のモードが強く反映しているように感じる。

わかりやすいところでいえば、BPM。

フレデリックの今作のBPMは、ダンスを標榜するロックバンドのBPMというよりも、クラブで流れるハウス系のBPMに近いものがあるし、それ故、この歌のサビは、ぴょんぴょん飛び跳ねるような盛り上がりができるレベルではあるものの、「飛べる曲」としては、極限まで遅くさせたような印象を受ける。

だから、サビで飛び跳ねるイメージもできるけれど、横に揺れて楽しむこともできる、そんな絶妙なテンポ感だと思うのだ。

これがもう少し早くなると飛び跳ねたり、場合によってはモッシュしたくなるようなビート感になる。

逆にもう少し遅くなると、ディスコ感が出てしまって、クラブでゆらゆら踊る(?)ような感じが強く出てしまうと思うのだ。

でも、この歌はそのギリギリに攻めている。

ロックフェスのムードを理解しつつ、クラブ的なダンスミュージックの音楽構造も理解したうえで、微妙なところに着地させて、より自由に踊れる歌を作っているように感じる。

そう。

フレデリックならではのアプローチを感じるのだ。

フレデリズムという言葉を標榜するだけあって、リズムやテンポに対するこだわりが他のバンドと違うことがよくわかる、そんな歌。

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他のバンドとの違い

というと、他のバンドがこだわっていないみたいなニュアンスになって語弊を招きそうだけれど、別にそういう話ではない。

なんというか、他のバンドはキメのフックを作ることが多いというか。

KEYTALKのお祭りソングを聞けばよくわかるけど、ここでみんなで手を叩きましょうねみたいなリズムのフックを作ることで、一体感を作ちがちで、そのフックこそがロックバンドにおける「ダンス」のキーワードになることが多い。

でも、フレデリックの今作は、そういうリズムの使い方をまったくしていない。

「VISION」のイントロは、シンセのタラタラタラ〜という音と、ギターのカッティングがリズムを意識させる。

が、このリズムは別に身体の動きに対して、具体的な指示をしてこない。

横揺れをするか、手を突き上げるかの選択すら自由にさせてくるような、そんな絶妙なテンポ感なのである。

リズムの話をもう少し深く

唯一のこの歌でわかりやすいリズムを取るのがBメロだろう。

Bメロに入ると、スネアがAメロの倍の数音を叩くようになり、手拍子をしたくなるようなリズムを作る。

そのリズムの気持ちを増大させるように、裏ではシンバルの音を入れてくる。

そして、Bメロの後半からはサンプリングっぽかったスネアの音が生音っぽい乾いた音に切り替わり、それに合わせてスネアがより細かなビートを刻み、サビに至る直前の無音部分まで、ダダダダダダと連打で音をうつようになる。

この連打が今から盛り上がるぜ!の合図となり、サビへの高揚感を作る。

EDMでよくみるような、ダンスミュージックのパターンである。

そして、一瞬の無音。

この無音のタイミングで、ボーカルが「ずっと」と歌い、メロからサビへまたいでいく。

以降、サビに入ってからは不必要にテンポをあげたり、リズムフックを作ることはしないで、シンプルなビート感で盛り上げていく。

ふつうのロックバンドなら、サビにこそ色々とリズムの仕掛けをつくるけれど、今のフレデリックはそれをしない。

これこそが、他のバンドとは違う発想だよなーと思う。

なにより、今みたような全体的なリズムアプローチが、ロックフェス系の「踊る」と、ダンスミュージック的な「踊る」を巧みに融合させていると感じる。

つまりは、フレデリックならではの魅力。

あと、このテンポ感だからこそ、レトロでディスコみのあるサウンドが映えるんだろなーと思う。

フレデリックのフレデリックらしさを確固たるものにしている理由である。

なぜこのテンポなのか?

例えば、「オドループ」とか「オンリーワンダー」とか「リリリピート」の方がフレデリックらしさがあるという意見もある。

160以上の高速なBPMで、記号的な歌詞をリフレインさせる、中毒性のある歌こそがフレデリックの魅力なのだ、という意見もあることだろう。

でも、「VISION」はそこにノーを突きつける。

そして、そういうテンポ感の歌をシングルの表題曲としてリリースしたことには、大きな意味があるように感じる。

もちろん、このテンポ感にしているのはいろんな狙いがあるからだとは思うんだけど、こと今作に限っては、より歌詞をしっかり聴いてほしいからなのではないかと思っている。

それこそ「飄々とエモーション」あたりから、フレデリックの歌の言葉の強さが明確になってきている。

そして、それは今作でも強く感じるのだ。

「VISION」というタイトルそのものが明確なメッセージ性を感じるし、自分たちがどういうモードで音を鳴らしているのか?ということをきっちりと言葉にも落とし込まれている。

まあ、歌詞をどう読むのかは人それぞれだと思うので、ここで細かくは書かないけれど、言葉により注目するための仕掛けとして、このリズム感にしている部分はあると思うのだ。

まとめ

今のフレデリックのモードを反映しているし、聴きどころがたくさんある今作はシンプルに言って、すごく良い歌だと思う。

なにより他のバンドとは違うこだわりを持って音を組み立てているフレデリックの音楽って、単純に面白いし、ワクワクする。

きっとこれからもフレデリックはフレデリックにしかできない音楽をどんどん進化させるのだと思う。

より大きな景色を作るために。

そんな未来が想像できる今のフレデリックの今後がただただ楽しみである。

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