never young beachのニューアルバム「STORY」について

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never young beachにどういう印象を持っているだろうか?

僕はシティポップバンドとして、それこそSuchmosやcero、 Yogee New Wavesと並べて捉えつつも、その中では最もロック色が強いバンドという印象だった。

僕は「緩い」ロックが大好きなんだけど、ネバヤンの1stアルバム「YASHINOKI HOUSE」のサウンドは、まさしく僕が思う「緩い」ロックだった。

雰囲気というか声質的に、ゆったりしてしまうような温厚さがある。

ぼやけたリバーブの掛かったような声。

トロピカルで少しくぐもったギターサウンド。

お風呂の中で聞いているようなローファイサウンド。

Real EstateのようなUSインディーの空気を受け継ぎつつも、日本人ならではのメロディーが乗っている。

まるで、新時代のはっぴいえんど。

その後に出した2ndアルバム「fam fam」では、ストロークス風の楽曲「」が収録されるなど、ロックンロール色が強くなる。

そして、youtubeで公開された「明るい未来」が大ヒット。

続いて、小松奈々が出演した「お別れの歌」を発表するが、この歌も広く聴かれることなり、そのままメジャーデビューを果たすことになる。

「A GOOD TIME」は、メジャーデビュー作品としてリリースされたアルバムである。

この作品は流石メジャーデビューと言ったところで、サウンドはかなり力強くなり、よりポジティブに、よりポップに突き抜けたアルバムになっている。

で、今年リリースされた新作「STORY」は、そこからよりキャッチーな作品になるのかと思いきや、ちょっとだけ初期の作風に戻っている。

少しくぐもった音の哀愁と今まで以上にゆ~ったりとした作風は1stアルバムの「YASHINOKI HOUSE」を想起させる。

世間的に売れてきて、それこそ明るい未来やメジャーデビュー作によりパブリックイメージが出来上がってきた頃に、そこから更に売れようと媚びた作品ではなく、ミュージシャンとして、より自分自身のジャンルを掘り下げたアーティスティックな作品を作ってきた。

そしてその上で、ちょっと地味に映るかもしれないが、ちゃんと一般的にも楽しめるようなポップさが、高水準で両立している。

例えば、当時ネオシティポップバンドとして一緒くたに語られていたSuchmosは、この前の「THE ANYMAL」で、自身のルーツであるブルースから60sのサイケデリックロックまで広がりを見せ、ヒッピーを継承する音、ダモ鈴木を連想させるヨンスが誕生し、完全に別次元に移った。

ceroは「Obscure Ride」で完全なるブラック・ミュージックへと近づき、昨年の大傑作「Poly Life Multi Soul」では、アフロビートも取り込んだ新たなポリリズムを発明し、こちらも完全に新時代の音へと進化した。

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そう。

彼らはシティポップというジャンルで括るには余りにも勿体ないバンドで、一ブームで消費されるどころか、どんどん新境地へ突き進んでいる。

never young beachも例外ではない。

今作の1曲目「Let’s do fun」を聞いてまず思ったのが、細野晴臣のトロピカル三部作だった。

細野さんはシティポップの原点である「はっぴいえんど」のメンバーとして有名だが、解散後に電子音楽のパイオニアであるYMOを組むまでの間、実は初期のnever young beachに近いような作風のアルバムを出していた。

皆がビートルズ等のイギリスやアメリカの西洋のロックンロールに影響を受け、日本でロックを追及している中、彼が目を付けたのが東洋の音楽。

その結果がトロピカル三部作で、沖縄民謡、台湾、香港、ニューオリンズ、そしてハワイのような南国風の音など、アジアの文化をごちゃ混ぜにしたものを日本のゆったりとしたフォークロックに混ぜた結果、今までほとんどフォロワーのいなかった新たなサウンドを作り上げた。

never young beachの今作の一曲目は、それに通ずるものがあったのだ。

でも、それを露骨に感じたのは1曲目くらいで、それ以降の曲は、どれもまた別の新境地を感じさせる。

全体的に音数を減らしシンプルにして、ミニマルを追及したサウンドになっている。

素朴なドラムやベースラインが心地よく、そこにいつものまったりとしたボーカルが乗るので、今までにない哀愁を生んでいる。

正直、今までの三枚のアルバムって、アンサンブル的にはずっと同じ延長線、同じスタイルでやってきた感じがあったので、ここにきて彼ららしさを残しつつ、新たな作風を繰り出してきたことに、すごくわくわくする。

リードトラックの「うつらない」を聞いたとき、余りの名曲っぷりと、先も述べたようにここ最近の突き抜けたキャッチーな作風とは真反対だったので、発売前からかなり楽しみにしていた。ある意味これで離れてしまうファンもいるのかもしれないが、逆にこれで好きになる人もいるだろうし、結果的に多くの人に聞かれてほしい作品ですある。

関連記事:Suchmosの新譜から考える売れるメロディーライン

筆者紹介

曙太郎(@u_mass3)

しがないOGRE YOU ASSHOLEのファン。

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