スピッツ「コメット」の歌詞の意味は?解釈と考察

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スピッツのニューアルバム「醒めない」に収録されている「コメット」。

この楽曲はフジテレビ系で放送されるドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の主題歌にもなっている。

草野曰く、「投げやり」から「前向き」になる途上を歌ったという楽曲、その歌詞をこまかくみていきたい。

作詞:草野正宗

1番の歌詞について

・誰でもいいよと~人になった、について

すんごく俗な言い方をすると、異性の誰でもいいからとにかく出会い厨していた、みたいな意味合いの最初のフレーズ。

一人身の主人公にとって最愛のパートナー(要は彼氏彼女)を見つけるのは、まるで迷路に迷い込んでしまったかのように先の見えないことだっけど、そんな迷路の出口を探している途中で君に出会ったわけだ。

君に恋をしたことによって、ちゃんとした感情を持つようになった、適切な価値観を持ち合わせるようになったということで、人になったという言い方をしている。

ただし、人になる前の黄色い金魚って何なのだろうか。

主人公が貞操のない出会い厨であれば、草野場合は「獣」みたいな言い方をするはずだが、ここでは「金魚」としている。

金魚のイメージは飼いならされたもの(水槽に閉じ込められているイメージ)とか、糞が長くてそれを食べるみたいなイメージがある。

飼いならされているということ、それに従ってただ食う・寝る・排泄をするだけの生き物ということであり、、今まで無気力で惰性的な生き方をしてきたということの比喩であるような気がする。

ただし、主人公はそんな金魚の中でも「普通」ではなかったから、金魚にしては珍しい「黄色い」という修飾語をつけたのではなかろうか。

とりあえず、歌詞の続きをみてみよう。

・押し寄せる人並みに~ホームへ駆け上がった、について

学生たちでごった返している放課後の駅がイメージされる。(もしかすると、会社帰りの人で溢れかえっている駅なのかもしれないが)

情景が鋭く飛び込んでくるフレーズであるが、ここでの僕と君の距離感が見えてこない。

一体、どうなっているのだろうか。

・「ありがとう」~生き物に、について

「ありがとう」を言ったのは君だろう。

僕は何を言って、君にありがとうと言われたのだろうか。

そして、心が砕けたというのは良い意味で使われているのか悪い意味で使われているのか、ここでは判断が難しい。

君とお別れした僕は「君にまた会いたい」と願っている。

普通にバイバイしただけなら、すぐにまた会えるはずだろう。

まさか僕は君に告白して振られてしまったのだろうか。

だから、また君に会えるくらい=付き合えるくらい魅力的な生き物になりたいと宣言しているのだろうか。

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謎は深まるばかりなので、2番の歌詞をみてみよう。

2番の歌詞について

・すりむいた胸の奥に~救われた、について

心が傷ついたことを「すりむいた胸の奥」と言い方が妙にに可愛いらしい。

さて、なぜ主人公は傷ついているのだろうか。

君にふられたとすれば、そういうことであろう。

可愛らしい戯言は君が発したもののような気がするが、どんな言葉だったのだろうか。

「お友達からでいいなら、付き合ってもいいよ」みたいな慰めの言葉だろうか。

このフレーズではわからないので、次のフレーズをみてみよう。

2番のサビである。

・「さよなら」ってやだね~追いかけて、について

終わったものって僕と君との「友達」としての関係だろうか。

僕から離れていく優しいものとは、人とかのことではなくて感情の類いであるような気がする。

人を好きになるということ、ある意味でエゴになってしまうということでもあるわけで。

ここで気になるのは「ゴムボール」という言葉の意味である。

これも感情を示した言葉であるような気がする。

ゴムボールは跳ねるものだ。

そして、丸い。

ゴムボールは転がってしまって今は僕の手元にないものであり、それを僕は愛おしいと思っている。

ゴムボールって壁に当てたら跳ね返ってくるから「愛情」とかそういう類の気持ちを形にした言葉なのであろう。

甘いの愛の言葉とか、そういうことなのかもしれない。

今は君に向かってぶつけることのできるゴムボールを持つことは許されない。

なぜなら、ふれてしまったからだ。

先の歌詞をみてみよう。

「切れそうなヒレで~遠いとこ」

人になったはずの僕が金魚に戻る瞬間である。

想像とはおそらく僕と君がカップルになることだろう。

けれど、その想像は少し外すわけだ。

彼氏彼女の関係にはなれないけど、友達とはまたちょっと違う関係を目指して僕は君との日々を過ごしたいと望んでいるのかもしれない。

僕がこんなことを言うということは、君は僕が告白したとき、それを断ったのだろうけど、その際の言葉が「ごめん。実は好きな人がいるんだ」とか「実は付き合っている彼氏がいるんだ」みたいな言葉だったのだろう。

現時点で努力しても恋人になれないのだ。

たぶん。

そして、最後のサビ。

僕は君に振られてしまったから、君のことを想う言葉「好きだよ」とかそんな感じの言葉はもう言えなくなってしまったのだ。

だから、心が砕けて新しい言葉を探すしかないのだ。

やがて、君との別れる場所に着いたから、そこで君に手を振りつづける僕。

恋人になれない僕は、君と会うためには「君に恋している僕」を止めなければならないのだ。

会うためには違う僕=生き物にならなくてはならない。

けれど、そんな簡単には「純粋な友達」にはなれないから、その微妙な狭間で僕は苦しんでいるのである。

もしかしたら、ここでしっかりふってくれて「ありがとう」と言っているのかもしれない。

ここで、ふってくれることで、次の「本気で好きになれる人」を探すことができるから。

あるいは、もっと魅力的な人間になるために精進することができるから。

この瞬間、「投げやり」が「前向き」になったのかもしれない。

ちなみにコメットとは彗星という意味である。

彗星とは突然現れ、すぐに消えてしまう流れ星のことである。

金魚のコメットのような僕と、流れ星のコメットのような君。

そんな短くて、切ない恋の一幕がこの歌の正体なのかもしれない。

<追記>
本文では言及しませんでしたが、コメットっていう金魚がいるんですね。
だから、歌詞に金魚がでてきて、タイトルはコメットになるんですね。

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