オーラルの大阪のライブがだいぶ荒れたようである。

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どれくらいの荒れ模様だったのか、ネットで見かけた感想レポートをまとめると、

・10人以上倒れて、運ばれる

・ダイバーの人が落ちまくる

・演奏を中断して、ボーカルのやまたくが人を助けようとするが、観客は人を助けようとするやまたくに触ろうとして、逆にオーディエンスが荒れる。

・ケータイを落とした人が多い。

・靴をなくした人が多い。

・静かな曲でもに常に横揺れ。

・曲の盛り上がる部分で、毎回、現代の年金構造を体現したような多数のリフト出現からのダイブまみれ。

・中盤あたりでもわりとぎゅうぎゅう。みんながやりすぎなくらい前に押し寄せている。

などなどなど。

要はすごく危険な状態が続いていたというわけである。

で、この現象に対して、ライブ慣れした外部の人間の多くはこんな意見を吐く。

・若者のマナーがなっていない。

・アイドル現場にいくようなノリできている女子が多いせいだ。ピット慣れしていない人間が多いからモッシュゾーンがひどいことになる。

まあ、当たらずとも遠からずな意見な気はする。

が、年代が上であればマナーもあるしモラルもあるかというと、それは誤りであり、ハイスタやエルレのライブに行ったことのある人間から言わせてもらえば、どっちもどっち感は強い。

可視化されているかいないかの違いであり、わりとあっぶなかっしい事案はアラサー(アラフォー)人気バンドでも多かったし、若者であれ年配のキッズであれ、マナーや思いやりがない奴は一定多数いる。

ただし、アラサー(アラフォー)になってもライブハウスに通い続ける奴は、純粋に音楽好きな奴が多く、故にバンドに対する思いやりが強くて、ライブハウス文化が身体に染み着き、暴れていいラインと暴れたらいかんラインをしっかり身につけている感はあるかもしれない。

つまり、「残った奴」は有能な奴が多いというわけだ。(だから、残っていない奴が途端に集い出すハイスタのライブは荒れがちなのだが)

さて、こうやってモッシュピットが荒れてしまうことで危機意識を持っている人間も当然それなりにいる。

で、Twitterなんかで、このままじゃダイブやモッシュが禁止になるよ、だからみんなちゃんとマナー守ろう、みたいなことを言ったりする。

そういう意識を持つことは素晴らいし、Twitterとはいえちゃんと発信していくことは良い心がけだと思うのだが、個人的にひとつ言わせてもらうとすれば、ライブハウスが危険な状態になるリスクはその程度のものでは済まないぞ、ということである。

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どういうことか。

例えば、大怪我をする人や、死人が出る可能性だってあるわけだ。

人って、みんなが想像しているよりも簡単に死んでしまうのである。

なんだかんだいって大丈夫でしょ、と心の底では思っているかもしれないが「なんだかんだ」にならない可能性だって十分にあるのだ。

人に埋もれて人が死ぬ可能性はマジであるのだ。

仮に。

死亡事故がおきたら、どうなるのだろうか。

当然、死んだ人やその親族が大変なのは当然だが、ここでは、ライブを提供する側みたらどうなるのかを考えてみたい。

まずは、イベンター(主催者)がどえらいことになるだろう。

サービス残業の連続でなんとか会社を回しているイベンターは、正直、経済的に潤沢とはいえない。

それでも、少しでも若い人にライブハウスに足を運んでほしいと考えているから、極力安い値段設定にするべく、安い賃金で働いているわけだ。

で、そんななかで、もし死亡事故がおきたとすれば、間違いなく死亡した人の親族が裁判をおこすだろうし、億単位の賠償金をイベンターに請求することになる。

たとえ、どれだけ死亡した本人やその場にいた一部のお客さんが悪かったとしても、注意喚起をせず、リスクヘッジをしなかったイベンターが槍玉に挙げられるの間違いないし、おそらく億単位の賠償金はイベンターが払うことになる。

お金のないイベンターが億単位の金を払うことになれば、そのイベンターは潰れるかもしれないし、責任問題で、その公演担当者はその会社を辞めることになるかもしれない。

まあ、イベンターなんて知ったこっちゃないし、どうだっていい、と思う人がほとんどかもしれない。

自分の関係のない人以外はどうでもいいと思っている人が多いからこそ、ライブハウスが荒れてるわけで、イベンターの話なんてしても仕方がないのかもしれない。

では、イベンターの次に誰が槍玉に挙げられるのか考えてみよう。

おそらく、死亡事故を起こしたバンドが槍玉に挙げられるだろう。

まあ、バンドが賠償金を払うということはあり得ないだろうが、メディア的に槍玉を挙げられることは間違いない。

誰の迷惑にもなっていない不倫問題ですらあんなに叩かれ、活動休止(あるいは半ば)まで追い込まれているのに、死亡事故を起こして何のお咎めもなくライブやツアーができるなんてあり得ないだろう。

当然、まずはそのツアーの全てが中止になるだろうし、そこからどれほどの謹慎生活を送るかは未知数である。

当然一度事件を起こしてしまえば、今までと同じような「自由」なライブはできなくなるだろうし、色々な制約のなかでライブをすることになる。

どんな「束縛」が待ち受けているかはわからないが、やがてメディアのバッシングはロック文化やライブハウス文化そのものに波及し、他のバンドやフェスなんかの「自由」も奪い去ることになるに違いない。

自分たちの土地は自分で守れ、みたいなことをケンヨコがMCで言ったりするが、こういう意味も含まれているのだ。

こういう事件が起きたときに何が厄介って、暴れたりめちゃくちゃしてる当人がその責任を問われる可能性はすごく低いということであり、そういう奴に限って、そのうちライブに行くことに飽きて、音楽そのものから足を洗う可能性が高い。

荒らすだけ荒らし、現場から去って行くのである。

だから、こんなところでこんな文章を書く無意味さは痛いほど痛感しているが、それでもなお、本当に「やばいこと」が起こったときにどうなるのか、という想像力は常に形にしておいておかなければならないのだと思うのだ。

別にオーラルのライブに限った話ではないし、別に若者が多く集うライブだけに限った話ではないと思う。

ライブなんて楽しければいいやん、という考えが支配的であり、その意見が圧倒的に正しいことは承知でも、考えなければいけないことはあると思うのだ。

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