Suchmosが売れてSuchmosっぽいバンドが売れない理由。インディーバンドのブレイクする条件とは?

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Suchmosやceroが売れているけれど、それ以外の似たようなバンドはなんとなく売れずに終わってしまうことが多い。

個人的には森は生きているが解散したのがショックだったのだが、売れるというのは難しいのだなあ、と改めて考えさせられた。

さて、以前、当サイトの別記事では、「っぽいバンドなのになかなか売れない理由」について、アーティストをある種の個人、キャラクター、あるいはキャラクターとしての物語として消費させることに成功できたどうかが重要なポイント、みたいな感じのことを書いた。

要はバンドをアイドル化させることに成功できるかどうかという話であり、信者をどれほど作れるか、という話でもある。

が、Suchmosが売れているのはまたちょっと違うと思う。

ほとんどの人は楽曲が良いと感じたから聴き始めたのだと思うし、YONCEめっちゃかっこいいやん!みたいな入り方をして、信者になってSuchmosのやることなすこと全て褒めている人って、今のところあんまりいないと思う。

では、なぜ彼らは売れたのだろうか。

彼らの場合は、キャラクター性ではなく、音楽性で売れたことは間違いない。

ただし、その音楽性というものが、どういう消化されているのかがポイントなのだ。

例えば、あのグルーヴ感が最高とか、ギターの音が良いとか、なんか理由はよくわからないけど聴いていると心地よい気分になるとか、まあだいたいこんな感じの理由で、Suchmosの音楽を褒めている人が多いだろう。

で、そういう感じでSuchmosをハマった人であれば、他のSuchmosっぽい音楽も聞かせたら「これ、めっちゃいいやん!」と反応してくれる可能性が高いわけだ。

けれど、SuchmosというのはDJありの6人構成だしYONCEの伸びやかな歌声があってこそ成立するものであって、他のバンドはまたちょっと違うという人も多いのだろう。

これが、他のバンドに比べてSuchmosがひとつ抜けて売れている理由、、、なのだろうか?

他にも理由があるはずだ。

例えば、メンバーのコミュ力が高く、色んなフェスや対バンに呼んでもらえており、色んなファン層にリーチできているという点も大きいだろう。

各ラジオ局でも、Suchmosの楽曲をヘビーローテションとして採用しているところが多く、たくさん宣伝しているからこそ、知らず知らずのうちに色んな人の耳に馴染ませられたことも大きな要因であろう。

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けれど、一番大きいのは下記のようなファンをたくさん獲得できたからだと個人的には思うのだ。

それは、お洒落のためにSuchmosを聴いているファンたちである。

要は、こういうタイプの曲を「良い」と言えちゃう自分は「お洒落」だよね、と言いたいがためにファッションとして聴いている人が、自覚的にしろ無自覚的にしろ一定数いると思うわけだ。

こういうマイルド音楽ファンあるいは、音楽好きというよりは、音楽を聴くことを自分の個性としているタイプの層の「標的」として、Suchmosは消化されているのではないか、というわけだ。

こういう人たちの場合、より音楽的な良し悪しよりも、より自分を「お洒落」に魅せるバンドを選び、ファンであることを公言する必要がある。

だから、そこそこ名前はわかるし、聴かせたら一発で「ああ、たしかにこれお洒落」と言ってもらえそうな、絶妙な立ち位置のバンドを選ぶ必要があるのだ。

だから、Suchmosっぽいバンドではダメなのだ。

穿った言い方をしているが、こういう箔を手に入れることができるのは、メジャーではないバンドでは凄く大事なことだと思う。

特にSuchmosのようなジャンルのバンドは、最初から「音楽を聴いて暴れたい人たち」には聴いてもらえず、ファンのパイがある程度限定される可能性が高い(特にフェスで人気者=売れていると錯覚される昨今において)わけだから、なおのことこういう箔が大切となる。

インディーズバンドが大事なことは音楽を好きな人に好いてもらうこと以上に、音楽はあまり聴かない層にどうやったら聴いてもらえるか、ということである。

それに、最初は「お洒落に思われるから」という理由でSuchmosを聴いていたとしても、気がつけば音楽通になってしまっているということはよくある話だ。

コアな音楽ファンは、音楽以外の理由で音楽を聴く人たちをすぐに排斥しようとするが、あまり音楽を聴かない人たちをトリコにして、他のファンよりも明らかにブレイクできているバンドの存在というのは、音楽というカルチャーにおいてとても大切なことなのだ。

というわけで、Suchmosはぜひこれからマイルド音楽ファンをどんどんとトリコにして、いずれはホールを埋めるようなビッグバンドに成長してほしいと思う。

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