どういう音楽が売れますかね?みたいな質問をもらうと「うーん。難しい質問だなー」と思うんですけど、最近人気のバンドのボーカルを見ていると、みんな共通して持っている要素があるなーと思っていて。

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え?何かって?

サイコパスですよ。サイコパス。これです、これ。もちろん、精神病理学でいうところの「サイコパス」とはちょっと違うニュアンスでこの言葉を使っているので、少し失礼な物言いになっているのは承知してます。

けれど、やっぱりサイコパス的要素を持ったボーカルがいるバンドこそが今の音楽シーンを制している!というのはあると思ってて。

今回の記事では、それを証明するべく、言葉をしたためようかなーと。偏見まみれで大変恐縮ではあるんですが。

山中拓也 / THE ORAL CIGARETTES

めっちゃ曲も良いしライブもカッコいいし、ファンの数はどんどん増えていく一方で、100点満点に近い順風満帆な活躍を見せている今のオーラル。はっきり言ってドームでのツアーすら、もう少し手を伸ばせば届く距離までやって来たんじゃないかと思う。

そんな、誰もが羨むサクセスストーリーを歩みつつある今のオーラルだけど、時たまメジャーバンドらしからぬ、ドス黒い影がチラリと見える瞬間があって。

Twitterがごく稀に荒れるというのも、そのエピソードの一つだと思うのだ。

そういう「単純に仕事が疲れたからちょっと愚痴を吐いちゃった」というのとは一味違う、独特の黒さとか翳りを、ふとした瞬間に見せたりするんですよ、やまたくは。

良くも悪くも、なんだか二面性を感じさせるというか。めっちゃライブで熱いことを語るのに、その反動ですげえダークサイドに落ちるというか。おまえの存在が一番「容姿端麗な嘘」なんじゃないか?みたいな、そんなダークさ。

基本的には人懐こっくてひょうひょうとしてるんだけれど、急に笑い出して感情が決壊して急に誰かにブチ切れる絵を想像しても、「なんだかありそう……」って感じになるのは、それだけやまたくが多重人格的な、何を考えているのか完全には掴みきれない、独特のミステリアス感を持っているからだと思ってて。

そういう独特のヤバさがあるからこそ、他の同世代イケメンバンドよりも圧倒的にファンが多いんだろうなーなんて勝手に思ったりしてて。

関連記事:オーラルが人気になった理由を考えてみた!

尾崎世界観 / クリープハイプ

歌ってるときの目が誰よりもヤバいのは尾崎世界観だと思う。

どのボーカルよりも感情が安定してなさそうだし、その感情を抑制させることなく、顔面に炙り出しているヤバさがある。

なにより、自分が手に入れたいものがあれば、どんな手を使ってでも取り入れそうな、そんな容赦のなさがあるじゃん?尾崎世界観って?

じゃないと、あれだけ激しく感情吐露した人生アンダーグラウンドな歌を歌いながら、時には澄ました顔で、めざましテレビなんかに出演して、お茶の間の前で普通にジャンケンするなんて芸当、できないですって、普通。

関連記事:クリープハイプを好きな理由について

野田洋次郎 / RADWIMPS

「君が襲われ 身ぐるみ剥がされ レイプされポイってされ途方に暮れたとて その横を満面の笑みで スキップでもしながら 鼻唄口ずさむんだ」「国旗を君のあの形にする」などなど、恋人に対して正常な共感覚を持ち合わせていたら、絶対に出てくることはないであろうパワーフレーズを、平然とした顔で、臆面もなく繰り出してくるこの男こそ、サイコパスというワードがもっとも似合うなーと思う。

わりと無難な曲と認識されている「最大公約数」だって、「別れる理由3つあるなら 別れない理由100探すから 」っていう、相手の気持ちなんて一切知らんし、考えようなんて思わないし、とにかく自分の感情が一番大事!っていう思考回路がよく見えるその精神性が、圧倒的にサイコパスだよなーと思うのだ。

「ふたりごと」では「俺は地球人」と嘯いているが、「棒人間」では「僕は人間じゃない」と告白してしまっているし、トータル的な歌詞世界感のヤバさ、メンタルが一定しない感じは、今なおナンバーワンだと思う。

サイコパスってどういう人種なの?って言われたら、野田洋次郎の歌詞に出てくる人のことだよって答えたら、だいたい合ってる。

ミスターサイコパス量産者。

関連記事:RADWIMPS「HINOMARU」歌詞の意味と音楽的感想!

山口一郎 / サカナクション

自分の理想が高すぎて、あるタイミングで感情が崩壊してしまい、髪の毛搔きむしりまくりながら、己の自我が分裂してどんどん狂っていく。

そんなタイプのサイコパスがここまで似合うバンドボーカルは彼以外にいないと思う。

ってか、現時点でその兆候があるからこそ、ニューアルバムは全然リリースされないのだろうし、「今度の新作では空気そのものをパッケージしたいんですよね…」みたいな、常人には理解できないスケールのことを言ってしまうのも、そういうことだと思われる。

締め切りが過ぎた、というビジネスパーソンにおいてもっとも重要な後ろめたさが発生する自体になっても狼狽える気配がないのは、彼がサイコパスの沼にハマってしまったからだろうし、作品制作に対するサイコパス具合はバンド界でも随一だなーと思う。

ある種、アップルのスティーブ・ジョブズなんかと同じにおいを感じる。

関連記事:サカナクションの人気が不動の理由とは?魚図鑑から考える山口一郎の制作スタイルについて!

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星野源

いや、この人は、今は別にバンドマンじゃないんだけどさ。

けれど、心の中に抱えたドロドロさで言えば、音楽界でも一等賞って感じだし、そういうドロドロさを覆い隠してしまうその顔、そのスタンス含めて、本物のヤバさを感じる。

だってさ、ドラえもんとか朝ドラとか、日本の財産とも呼べる色んなブランドを乗っ取っていき、その全てを星野源の色に塗り替えていくその作業は、まさしくサイコパスのやり口そのものだし、そのうちにマジで、日本のエンタメそのものを乗っ取って、星野源色に染め上げてしまうのではないか?みたいなヤバさもある。

自分の表現のために、利用できるものはとことん利用して、使い捨て、星野源色に塗り替えてしまうんだぜ、きっと奴は。恐ろしい。

関連記事:星野源「SUN」をはじめとする歌詞の魅力、秘密、考察

高橋優

笑ってるのに目が笑ってないアーティストNo.1。

「高橋優 Mステ けものフレンズ」で検索してもらったら言わんとすることがわかってもらえると思う。

何の演技でもなく、あんなにも瞬時に笑顔から真顔に切り替えることができる高橋優のあの表情は、日本サイコパス協会も100点満点を出すと思うし、あの表情は「真性」じゃないとできない芸当だと思う。

「誰も傷つけずに人の背中を押していく」みたいなノリのポップソングばかりを歌うところも、心の奥底にある邪悪さを隠す罠だと思っている。少なくとも、俺はそう思っている。

斎藤宏介 / UNISON SQUARE GARDEN

ギターもボーカルもそつなくこなすし、基本的にはイケメンだし、わりと高学歴だし、全体的に育ちの良さしか感じさせないし、どこをどう切り取っても、完璧超人。

でも、時たまに見せる、あの胡散臭い笑顔。

口では「そんなことないですよ〜」って言いながら、裏では刃を研いでそうなあの感じ。

絶対超ナルシストな感じがするのに、一切それを外には出さない異常なまでに謙虚な感じ。

フェスでは基本「こんにちはっ!」「UNISON SQUARE GARDENでーす!」「ラストッ!」「UNISON SQUARE GARDENでしたバイバイッ!」しか発しないのも、基本は客に媚びるなんて嫌だ!みたいなスタンスなのに、わかる人にはわかるすんげえ細かい動きで客のハートをガツンと奪い去るそのしたたかさも、彼が裏の裏で、実はとんでもない感情を隠しもっているからだと思っている。

彼ほど本音が見えないバンドボーカルもいない気がするんだよなあ〜。MCもあんまり余計なこと言わないし〜。その辺の腹黒さ・底知れぬしたたかさ含めて、バンドボーカル随一のサイコパス候補。

関連記事:そろそろ、しょくぱんくんにユニゾンのマスコットキャラを担うのは荷が重すぎるのでは説!

KENTA / WANIMA

泣く子も黙る陽キャラ・KENTAがサイコパス???は???何言ってるの???そんな声が聞こえてきそうですけど、生放送の音楽番組の彼をよ〜く見てみ。

自分にカメラ向けられているときは一切の隙も見せないで、往年のアイドルばりに笑顔を振り向いてる彼だけど、ワイプとかで抜いた、スキのある彼の顔を見ると、マジでフリーズしたロボットのように真顔になってるから。

ぜってえあの笑顔の裏はド陰系というか、全ての希望を飲み込んでしまうような、感情のブラックホールが渦巻いているって。

いや、だってさ、そうじゃないと、サザン、ミスチルみたいなノリの「国民バンド」の世界にうっかり足、踏み入れられないって。

絶対、とんでもない精神性を隠してるんだって。じゃないと、あそこまでのチャレンジ、できないって。松本人志とCMとかもやれないって。

でさ、きっと、あと3年経ったら、amazarashiもびっくりの、すんげえダークなオーラ纏い出して「あいつらは殺す……!!」とか言いながら、ヒリヒリ感満載で音楽シーンの偉いやつら刺していくような音楽作るんだって。

あの笑顔は、そういう情動の裏返しなんだって。じゃないと、あそこまで大きくなろうとしないもん。

WANIMAの反逆、開催しま〜〜〜す。ってさ。

関連記事:WANIMAが紅白に出ることで考えてみたこと!今世紀初の孤独と内向性を排した紅白邦ロックバンド!

まとめ

なーんて。

圧倒的偏見にまみれたことばかり抜かしておりますが、感情の起伏がミステリアスなボーカルというのは、総じて魅了的に映るのかなーなんて思ったりはしていて。

なにより、SNSが出てきてアーティストとの距離が近くなった(と錯覚する)ことが多くなった昨今、バンドに夢をみる、っていう形が変わりつつあると思うんですね。

そんななかでも、上記のアーティストって良い意味で「何を考えているか掴めそうで掴めない幻想」を与えてくれるからこそ、異性を中心に圧倒的な人気を勝ち取ることができるし、そういうある種のサイコパス性というのがバンドボーカルという表現者において、重要な要素になったりするのかなーと思ったりするんです。

だって、ミスチルの桜井とかスピッツのマサムネとかBUMPの藤くんとかが、モリモリSNSを更新して、めっちゃくちゃファンにクソリプとか送ってたら、やっぱり嫌でしょ?

もしかしたらこの人、サイコパス……??ってなるくらいに感情がブラックボックスな人の方が、絶対魅力的にうつるんですって。

僕は、そう思います。

だからこそ、サイコパス要素がありそうなバンドほど、躍進しているのかなーと、そんなことを勝手に思いながら。

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