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新年になって考えることがひとつある。それは、2018年にブレイクするバンドは誰か?ということだ。

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ここでひとつ問題になるのが、ブレイクとは何を指すのか?ということだ。ネットでググるとこんな答えが出てくる。

ふむ……。

まあ、ロックバンドにおける「ブレイク」の定義は人それぞれで、小さなライブハウスでやってたバンドが大型フェスのサブステージに出演し、そこで規制がかかったら、それが「ブレイク」と捉える人もいることだろう。

あるいは、邦ロックを趣味にしている人の半数がそのバンドを認知すれば「その時こそブレイクでしょ?」と考える人もいるかもしれない。

あるいは、ロックなんてほとんど知らない人でも、そのバンドのことを知っている状態になることこそがブレイクだという人もいるかもしれない。

小さなライブハウスに足繁く通い、インディーズバンドの打ち上げに参加することが生きがいになってしまったアラサー女子と、ブルエンのオリラジとオリエンタルラジオの藤森の区別すらつかないけれど「趣味は邦ロック勢」な人たちとでは「ブレイク」の定義は異なる。

ちなみに、僕のブログでは昔ブレイクに対してこんな考察をしていたので、よければどうぞ。

スケールや大きさはともかく、2017年よりも2018年の方が話題になったり、大きなキャパでライブをしたりするようなバンドこそが「2018年にブレイクしたバンド」と言えるのではないかと思うので、そういう射程で考察を進めていきたい。

じゃあどんなバンドがブレイクするの?

2018年にブレイクするバンドは誰か?を考える前に、まずは2018年の音楽シーンがどういう様相になるのか、ある程度予測をたててみたい。

シティポップが流行るのか?とか、四つ打ちがブイブイいわすのか?みたいな見立てである。

2017年はSuchmosのアルバムの大ヒットを除けば、ド真ん中なヒットをかましたバンドはいなかったように感じる。

ただし、ライブでは着実にお客さんを増やし、フェスでもたくさんのお客さんを魅了するようになった20代後半〜30代前半バンドが多く出てきて、メジャーフェスにおける、ステージ割りの世代交代はより本格化した印象があった。

このように、安定した人気を勝ち取った若手(?)バンドは幾つか散見されるが、彼ら彼女らのジャンルや方向性はわりと雑多であり「これが今のど真ん中のトレンドです!」と、指差して言い切るのは難しい。

Suchmosみたいな音楽がきたかと思えば、マイヘアみたいな音楽がきたり、やっぱりヤバTがブイブイいわしてるかと思えば、sumikaのような音楽がたくさんの聴取を虜にさせたり。

上記4バンドだけでみても、同じカテゴライズができない音楽を鳴らしているし、ワンマンの空気もそれぞれ異なっている。

そして、その上いくオーラルやブルエンやドロスやKEYTALKやSHISHAMOなどに当てて考えてみても、より「シーンは雑多になってきている」印象を与えることになる。

鳴らす音楽はそれぞれの独自路線があり、己の道に邁進している。

そんな中、ひとつだけ彼ら彼女らは似たような道筋を辿っていることがわかる。

ファンクラブの開設だ。

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人気バンドがこぞって作るファンクラブについて

オーラル、ブルエン、ドロス、KEYTALK、ユニゾン、クリープハイプ、SHISHAMOなどなど、今勢いのあるバンドの多くは、ファンクラブを作っていることがわかる。

そして、2018年が幕明けてすぐに話題となったニュースのひとつに、sumikaのファンクラブ開設が挙げられる。

そう。今となってはほとんどのバンドは人気になれば、ファンクラブを作る。

そして、ほとんどのバンドのファンクラブは月額定額制となっており、色々な特典があったり、そのサイトだけのコンテンツを楽しめるようになっている。

けれど、ファンクラブに入会する人の最大の目的はひとつだと思う。

チケットを優先的に申し込める権利の獲得である。

ファンクラブに入ればチケットが当たりやすく、ライブにも行きやすい。

そのため、毎月ファンクラブにお金を落とすわけだ。(もちろん、ライブのためだけだったらそのシーズンしかファンクラブに入らないとは思うので、通年で入ってる人はそうでないことはもちろんわかってはいるけどね)

少しでも多くのお金を払ってでもいいから確実にライブに行きたい「ガチ勢」のニーズと、少しでもお客さんを囲い込み、お金を稼ぎたいバンドの狙いが、「ファンクラブ」という形で結実する。

有料ファンクラブの開設は、ファンというパイの囲い込み、という構図を生むことになる。

まあ、バンドごとのファンクラブ会員数がどれだけなのか僕は知らないし、ファンクラブ用の優先先行チケットでどれくらいの枠を埋めているのかもわからない。

それでも、ひとつだけ懸念されるのは、ファンクラブビジネスを大事にしてしまうと、そのバンドの世界はクローズドしがちになるということである。

端的に言えば、新しいお客さんがライブに来るチャンスが減ってしまったり、ファンが固定化されて新参がチケットを申し込みづらい、当たりづらい状況を生む恐れがある。

Twitterをはじめとする各バンドのクラスタによるチケットの囲い込みが、なおのこと外向きにチケットが流れる可能性を減らしている実態もあるわけで。

そうなると、ライブはより「身内な空気」を作ることになるかもしれず、新参お断り感が強くなるかもしれない。

まあ、客である僕たちからしたら「新参の増加」なんてどうでもいい話ではあるのだが……。

けれど、どのバンドが次にブレイクするのか?という指標で考えると、これは大事になる。

ブレイクする、というのは言い換えれば、そのバンドに新参がどれだけ付くのか?の言い換えになるからだ。

その視点から考えると、ファンクラブの開設というのは、少し足枷になる恐れがあるのかな?と思ってしまう。

そう言えば、この10年で見事なまでにお客さんが様変わりしたBUMPやRADのようなバンドはファンクラブを作っていなかったりするので、ファンクラブと新参の増加にはそれなりの関係性があるのかな?と個人的には思ってる。

とはいえ、ファンクラブに頼らないといけない事情もある。

モノを売ることよりも、定額制にしてそのサービスにお金を払ってもらう、というのがどのエンタメジャンルにおいてみられるビジネスモデルの大きな流れであり、ストリーミングサービスだってその流れのひとつなわけで、バンド側だって「ライブチケット」をダシにして、定額制に流れをもっていくのは「必然なこと」ではある。

学生がメインターゲットとなる邦ロック界隈において、それぞれのファンが各バンドにリソースできるお金の絶対数は限られている。

意地悪い言い方をすれば、この限られたお金をどのようにして自分たちで抑えるのか?な話になるわけで、「定額制にして毎月分のお金を確実に抑えていく」のは大きなポイントとなる。

とはいえ、今のファンは「いつまでもそこにいる」ものではないし、いつどのタイミングで飽きられるかもわからないので、囲い込みつつも、新しい客層にどうリーチしていくのかが大事になってくる。

ちなみに、そういう他のファン・新参に自分たちの音楽を届ける、メディアのような場所として機能しているのが「フェス」だと思う。

フェスというのは、テレビ出演と同じような、自分たちを他の層にも見てもらうための「場」として機能している。

だから、今後も多くのバンドはフェスで存在感を出すことが重要なメディア戦略となるわけだ。

また、バクナンはドームツアーだったり、ユニゾンが横浜アリーナのような大きなホールでライブをやったりと、2018年の全国ツアーの発表の流れのなかで、ファンクラブに入ってるお客さん以外にもライブに来てもらえる可能性が高くなりそうなキャパでライブをやるバンドが幾つかいるのも象徴的である。

自分たちの音楽をどこまで届けていくのかが明確になっているからこそ、こういう判断ができるわけで、常に先を見通す展望があるバンドほど「2018年はよりブレイクする」と言えると思う。

ファンがファンになる心理とは?

話は変わるが、ファンがファンクラブに入るときの行動心理ってどうなっていると考えられるだろうか?

もちろん、そのバンドのことが好きだから、そのバンドの音楽が好きだから、そのバンドのライブが好きだから、そのバンドのファンになり、そのバンドのファンクラブに入ったわけだが、ここではもう少し「好きになった気持ち」の部分に焦点を当てて考えたい。

どういうことか?

好きというのは、あるタイミングで泡のようにふと生まれる感情であり、一度それが生まれるとそれに他の感情も行動もコントロールされていく。

だから、好きという感情はエネルギーがいるし、いっぱいエネルギーの消費する、

そんな「好き」という感情を支えるのは何か?

それは「信用」だ。

ファンクラブに入る人というのは、一度くらいは彼らのライブを観たことがある人なはずで、そのときの体験が楽しかった!→だから次のライブも楽しい時間を提供してくれるはず、という信用があるから、次のライブもなんとしても行きたいと考え、必ずチケットを当てたい→だからファンクラブに入会、と考えるのではないかと思う。

好きが信用を生み、信用が「次も彼らは楽しませてくれるはず」という安心感を生む。だから、好きというエネルギーを使う感情は長く担保できる。

そう。

この「信用」というワードが、2018年のバンドシーンを見通す上で重要なキーワードになる。

例えばだけど、好きなバンドのMCを聴いて、うおーと感動したり、ドキドキとかワクワクの気持ちになるのは、そのアーティストのことを信用しているから成立する話だ。

あるいは、クラウドファンディングでお金を集め、それを軍資金にしてイベントなりライブなりを開催するパターンだって、クラウドファンディングしてる人を信用しているから成立する話だ。

きっとこの人たちにお金を預けたら、ちゃんとその期待に応えて素晴らしいものを提供してくれるはず。

そんな信用があるからこそ、お金という形でその人に託すわけだ。

それがクラウドファンディングの正体であり、信用のないバンド・アーティストならお金を募ったところで、誰も投資なんてしてくれない。

ファンクラブの囲い込みも、クラウドファンディングも、何なら新譜を買ってくれることも、フェスで特定のバンドに時間を割いてくれることも、そのバンドに対して信用があるからこそ成立する話なのだ。

変な話、フェスの場合であれば、前にライブであのバンドを観たけど微妙だった……と一回思われて、そのバンドのライブに対する信用が失われてしまったら、その人はそのバンドのためにフェスで時間を割くことはしなくなるだろうし、ファンとして取り戻すことは難しくなる。

音源だって同じことが言える。

前聴いた音源が微妙で、こいつらは大したものを作らないんでしょ?と信用をなくされてしまったら、もうそいつのために時間を割いて音楽を聴くことはしなくなるだろう。

ファンというのは、他の人たちよりもそのバンドのことを信用してくれている人たち、と言い換えることができる。

だから、何をしても付いてきてくれるし肯定もしてくれる、そういう背景がある。

だから、バンドがブレイクするためには、好きになってくれる人を増やす=信用してくれる人を増やすという考え方もできるわけだ。

じゃあ、信用を稼ぐってどうすればいいのか?

それは、嘘をつかないこと。

これは仕事でも、恋愛でも、バンドでも、同じこと。

とはいえ、彼らは仕事としてバンドを取り組む以上、環境によって嘘をついてしまう場面も生まれるところだろう。

例えば、自分たちでは「良い」と思えていない作品を「素晴らしい作品です!」と言い切ってしまって、各種メディアで宣伝してしまったり。

やりたくないタイアップでの作品作りだったのに、そのタイアップをヨイショするようにして作品を作ってしまったり。

ほんとはそんなにオーディエンスの状態が良いと思えていないのに、そのオーディエンスのことを過剰に褒めてしまったり。

往々にして、環境のために少しずつ嘘をついてしまう恐れがある。

嘘も方便なんて言葉はあるが、嘘に溺れてしまったバンドはどこかのタイミングでそのバンドの信用が落ちてしまうし、嘘を見透かしたお客さんは、少しずつ彼らから足を遠ざけてしまうものである。

あ〜タイアップがあったからテキトーに新曲作ったなーってなれば、やっぱり見透かされてしまうし、楽器すら大して練習していないのに「俺らは命をかけてライブやってるからお前らかかってこい!」なんて言ったってどこかで響かなくなる。

面白いところは信用できると思ってたバンドが、急にシリアスな曲ばっかりやり出してライブでふざけなくなったら、やっぱりそのバンドのライブに対する信用度は下がっちゃうわけで。

バンドは虚勢をはって嘘をつく仕事ではあると思うけれど、付いてはいけない嘘ってあるし、そういうのは見透かされるし、音楽にもライブにもそれは出てくるものだ。

バレなきゃいいや、はバレるものだ。

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で、2018年誰がブレイクするか?

つまり、2018年にブレイクするバンドはこの一年でさらなる信用をたくさんの人から稼げそうなバンドである、と言える。

嘘に溺れず、誠実にキャリアを重ねていきそうなバンドが強くなっていく。

そもそも、人からの信用があるからフェスでもいっぱいブッキングのチャンスをもらうわけだし、対バンだっていっぱい誘ってもらうわけだし、良いタイアップを良いタイミングでつけてもらうのだって、このバンドなら期待以上に応えてくれる、という信用があるから生まれる話なわけで。

バンドが売れる街道を走っていくためには、あらゆる場所・人から信用を稼いでいく必要があるわけで。

もちろん、これはあくまでもバンドの信用の話なので、実は結婚しているのに不倫をしていたと文春にバラされるのとは少し違う(とはいえ、独身であること信じて応援していた顔ファンの人が、そのカミングアウトによって信用を失ったと感じて、好きの気持ちを失ってしまったら、そっとファンを離れてしまう恐れはあるかもしれないが)

話が逸れた。

ブレイクするバンドは誰か?ということに話に戻そう。

実は、ここまで言っておきながら、正直それはわからない。

なんやねん、と突っ込まれそうだが、それが予言できたら僕は「しいたけ占い」の如く、占い師を目指したい。

ただ、幸いなことに、他のメディアで今年ブレイクするバンドはこれだ!ってカタログがたくさん出ている。

それがランキング形式で発表されている場合、その数字はそのバンドに対する信用の数値と見ていいと思う。

そして、色んな界隈からどの程度そのバンドが信用されているのか、その光の当て方と信用のされ方がどのようなものなのかを見ていけば、自ずと今後さらに信用されていくバンドは見えてくるはずなのだ。

フェスでブッキングしてもらうのだって同じことで、このバンドは未来のロックシーンに爪痕を残してくれるという信用があるから、ブッキングしているわけで。

ひとつの信用が機会を生み、その機会がさらなる信用を生む構図。

このエンジンをグルグル回すバンドは強い。

まあ、個人的にはリリースする曲が毎度毎度安定の美メロソングであり、常にライブもハッピーな空気になっていて、裏切られる余地なんて一切なさそうなsumikaなんかは2018年、すごくブレイクするのではないかと思っているが。

あと、CHAIはライブをみて、「こいつらの音楽は信用できる」と思ったので、売れる。はず。

結論として

もちろん、何をもって「信用」されているとみるのかはわからない。

そして、何をもってその「信用」を積み重ねることができたのか、と言えるのかもわからない。

けれど、そんな見えない何かを積み重ねられるバンドこそが勝ち上がるんだなーっていう所感は間違いなくあるし、いつまでもネクストブレイクバンドでいたり、急に人気が下降していったバンドというのは、いまいちこの信用ポイントが稼げなかったからそうなっている、ということは言えるのかなーと思う。

インターネットによって裏表がバレやすい世の中だからこそ、バンドも「誠実」が求められる時代。

ただし、バンドが信用を稼ぐ方法はひとつではないことは確かだし、クソというレッテルは貼られながらも、こういうところは信用できる、と息を吹き返したバンドだってたくさんいる。

だから、音楽は面白いし、バンドって夢があるんです。

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