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日本人のほとんどは、そんなに新しいものを期待してないし、革新的なものなんてもってのほかである、と思ってるんじゃないか、と僕は勝手に思ってる。

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これを裏付けるのが、ラピュタ放映時における祭りだと思うのだ。

ラピュタというアニメ映画は、ボーイミーツガールなアニメの傑作だと思うし、彦摩呂如きはハナクソにしてしまうような名言の宝石箱はアニメである。

特に「バルス」という言葉は、魔法の言葉。

老若男女問わず、皆の心を掴んで離さぬキラーワードとなっている。

「バルス」というのは、ラピュタの後半で出てくる滅びの呪文であるが、Twitterユーザーは映画のリアルタイムの「バルス!」を唱えるタイミングと合わせて、「バルス」とツイートしがちであり、これにより過去にはTwitterのサーバーを落としてしまうような事態まで起こしてしまったのだ。

そうなのだ。

みんなでバルスと呟くことを、お祭りのように楽しむネット民が多いのである。

放送時からの時間を逆算して、バルスを唱える時間までのカウントダウンをする奴まで現れる始末。

昔の映画がここまで愛されるのは喜ばしい話が、ラピュタの視聴においては、「新しい発見や喜びや感動」は誰も期待しておらず、何が起こるかを誰もが把握してそれを見るのだ。

メンタルの楽しみ方として、映画の楽しみ方としては、それはどうなのか?という思いが個人的には微妙にあったりする。

そして、結末がわかっており、前と同じことを反復するようにして楽しむというスタイルは、エンタメの至る部分で見られることである。

斬新なネタよりも、あるあるネタや共感ネタの方が受けることが多いのも同じ理屈だし、音楽でも「自分の慣れ親しんだ音楽」からはみ出る音楽は基本ディスの対象とする人が多い。

ゆずっ子が初見でベガスを歓迎した事例なんて見たことがないし、シロップみたいなバンドを敬愛する人が、WANIMAに一発で心を奪われたなんて事例も聴いたことがない。

90年代の音楽は神!という人は現代の音楽でも90年代の香りがしないものは受け付けない人が多いし、自分の青春時代の音楽に思いを馳せてばかりの人は、最新音楽なんて「ネタ」にしか見えていない人が多いこと多いこと。

つまり、エンタメにおいて「新しいもの」は誰も求めず、慣れ親しんだものと、それを反復するものばかりを求めてしまうようになるわけだ。

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その頂点がラピュタであり、「バルス祭り」なのだと僕は思う。

そりゃあ、誰しも慣れ親しんだものと、その慣れ親しんだものに通ずるネタには「居心地の良さ」を感じるし、ある程度年を重ねると、新しいものを触れることは「しんどさ」にしかならなくなるわけだ。

新しいものに出会う喜びよりも、あるあるネタやオチの分かっているモノに触れる方が「快楽」になってしまうわけだ。

これって、同じバンドのライブばかり行く人にも通底する感覚だと思う。

何度も同じバンドのライブにいくせいで、曲のノリ方を完全把握し、答え合わせをするかのように楽しんでいる人をみると、「定刻でバルスをする人」と同じメンタリティーを感じるし、「ま〜たそのコールアンドレスポンスですか〜」というような、決まりきった前フリしかしていないのに、それに飽きる顔見せずに嬉しそうに応答してるファンみても、「定刻バルス民」と同じメンタリティーを感じる。

バンドのライブひとつ取っても、新曲まみれでノリ方がわからない時間は「前フリ」としてしか消化されないし、いつもの、定番の、ノリ方が固定化された曲の方がどのバンドのオーディエンスもエキサイティングになり、楽しみの反復がここでも再現されてるなーと思ってしまう。

いや、それは単に新譜のクオリティーの問題でしょ?

そう思う人もいるもしれない。

けれど、フタを開けて「新譜のクオリティ」をつぶさにみると、盛り上がる新曲というのは、過去曲と同じツボを抑えた「ハンコのような曲」ばかりだったりするわけだ。

このテンポの曲ならノれる!

このテンポの曲はノリ方がよくわからん。

最近の○○は昔とノリが違うから、ハマらんわ〜。

そんな理由で「クオリティー」を判断する人が大半なのだから、そりゃあそうなる。

もちろん、それが悪いことだとは思わない。

けれど、エンタメ界隈くらいは保守的な価値基準にならず、いつでも革新で充満する空気の方が楽しいと僕は思うし、少なくとも「焼き直し」で溢れ「焼き直し」じゃないと売れない世の中よりはスリリングだと僕は思う。

地上波で放送する映画のラインナップが「いつものベタ」を少しでも脱却できるような世界になればいいのにーと、僕なんかは思ってしまうわけだ。

まあ、こんなこと書いてたら、ラピュタのドーラに「偉そうな口をきくんじゃないよ。娘っこ一人守れない小僧っ子が!」と、罵られてしまいそうではあるけれど。

それとも、「男が簡単にあきらめるんじゃないよ!」とエールでも送ってくれるだろうか。

難しいところである。

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