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どっかのバンドが便所の上でパフォーマンスして叩かれていた。

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センスはないし、面白くもないし、不快だなーとは思ったが、主催者謝罪案件になっていくサマをみて、実にポリティカルコレクトな時代だなーとも思った。

まあ、同じようなパフォーマンスでも、ライブハウスのような「閉鎖空間」でやるのと、色んなお客さんがくるフェスでやるのとでは事情が違うし、己のライブハウスのノリを安易にフェスに持ち込むことがそもそも間違いなんだ、というのは確かにある。

が、主催者が謝罪する案件になるまで燃えるとは、本当に「叩かれやすい時代」になったなーとは思ったりもして。(もちろん、この件が悪いのは当事者がスマホで問題の場面を撮影して、それをSNSで配信する節操のなさにあるのかもしれないが)

ところで、こういう話をすれば、昔のロックバンドはもっと殺伐としていたぞ、とかいう話をする人間も出てくる。

思えば、全裸になって逮捕される者もいれば、公衆の面前でセンズリをしていたバンドなんかもいたりしたわけで。

特に「猫殺しのバンド」としても名高い、ハナタラシはエグかった。

死んだ猫をチェーンソーで切り刻んだり、チェーンソーを振り回して誤って自分の太ももを切ってしまったり、ビール瓶をステージ上で割り、客席へ投げつけたり。

その場にいた誰もが「いつかは死人が出る」と危機を持ちながら、ライブに参加していたというのだから、相当なものである。

よくライブに行くことを「参戦」なんて表現したり、「俺は死ぬ気でライブをしている」なんて吠えるフロントマンがいるが、ハナタラシほど「戦う」とか「死ぬ気」という言葉をちゃんと再現していたバンドはいないと思う。

まあ、ハナタラシはめちゃくちゃやりすぎたので、結局、そのうちどのライブハウスを彼らに使わせてくれなくなった実情があるのだが、ハナタラシは抜きにしても、80年代のライブハウスには根本的に殺伐とした空気があった。

ライブハウスに行けば、演者・客問わずナイフに刺される事案が発生することは珍しくはなかったし、エレカシですら客にメンチを切って「なに、お前笑ってんだよ? なに、うなずいて聞いてるんだよ? オメーのことだよ!」と怒鳴って、客をビビらせたりしていた。

90年代のエアジャムの映像なんかを見ても分かるが、バンドマンたちはある種の虚勢をはっておかないと、他の誰かにしめられてしまうみたいな、見えない怯えが構造としてあったのかもしれないなんて今になって思うし、「抑圧の解放」の仕方が、もっと昔はエネルギッシュなものだったという気もする。

BUMPだって、昔は妙に尖ってたりするわけだけど、彼らもギリギリこの頃のライブハウス文化を掠めているわけで、尖っていないと誰かにやられてしまうと本能的に悟っていたからこそ、強引に尖ってみせていたのかもしれない。

ん?何の話がしたいか忘れてしまった。

要は、この数十年で、ライブハウスで支配されている価値観・文化・空気は大きく変わってきたということである。(まあ、最初に参照したトイレバンドはフェスでの話ではあるが、本質として同じことだと思う)

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そして、相対的にみれば、今ほどライブハウスのマナーが良くなってきた時代はないと思うのだ。

よくおっさんおばさんが、今の若者ライブマナーはなっていないなんて話をするが、あれは絶っっっっ対に嘘で、今の方が基本的にはクリーンになっている。

ただ、昔なら全席指定のコンサート会場でワチャワチャしていたようなタイプの人も、普通にライブハウスだったりフェスの最前を攻め入るようになり、SNSの発達で良いも悪いもすぐに情報が拡散されるようになったため、より潔癖主義で行かざるを得ない状況に陥りつつあるのは間違いない。

また、大型ロックフェスでのケガ人が出てくる事案は幾つも発生したし、某フェスではカミナリに撃たれて人が亡くなる事案も発生したしで、よりリスクヘッジをせざを得ない世の中になっているのも、また確かなわけだ。

こういう世の流れのなかで、もっとも辛酸を舐めているのはバンドマンだったりもするのかもしれない。

あれはするな、これはするな、時間は守れ、余計なことは言うな、ああいうパフォーマンスはよくないからするななどなど、色んな制約が付きまとってきている。

トイレの一件は個人的には「ダサい」パフォーマンスだったからどうでもいいが、世が世になれば、煽るだけでNGとなる時代になる可能性だって大いにあるし、ライブハウスですらモッシュ禁止なんて世の中になる可能性だってあるわけだ。

それでいいじゃん?という人もいるかもしれない。

けれど、選択できるパフォーマンスの幅が明らかに狭まる世の中が、良い世の中とは僕は思えないわけで。

何でもかんでも叩くことの安易さと危険さは少し自覚的であってもいいのかもしれない、なんてふと思う。

ニューアコで、細美がACIDMANのステージでベロベロになりながら、「バンドやってるとつらいこと、苦しいこといっぱいあんの」って話をしていた。

この「辛いこと、苦しいこと」が具体的に何を指しているのかわからないが、いずれにせよ、バンドマンにとって「夢のある未来・文化」になればいいなーとは思ったりする次第。

明日はどちらに向かうのだろうか?

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