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岡崎体育の新曲「潮風」。

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この歌はアニメ「舟を編む」の主題歌である。

ネタ曲のイメージが強いのに、なぜこのアニメの主題歌に岡崎体育が?という人も多いだろうが、カズーレーサーやレイザーラモンと同じ同志社大学である彼はわりと「博識な人」である感も否めなく、意外と合ってる感じもする。

ちなみに「舟を編む」の原作者である三浦しをんは早稲田大学出身である。

ちなみに作家で同志社大学出身といえば、筒井康隆が有名だよね、そういえば。

なんてことはわりとどうでもいいんだけど、曲を聴く限り、岡崎体育も今作はかなりタイアップを意識して作っているように感じる。

普段は使わない言葉をたくさん使用しているし、タイトルだって原作を知っている人には引っかかりができるようにされている。(音は彼の代表作であるMVに引っかかった人に対して反応しやすいような作り方をしているように思われるが)。

果たして、彼は歌詞にどんな想いを込めたのか。

みていきたい。

作詞︰岡崎体育

朝のおぼろげとした静寂 ペンの柄に映る窓越しの東雲 
夜の色鮮やかな喧噪 猫のように街と街を往来

「ペン」なんて言葉を使ったり、「喧噪」とか「往来」という言葉を使ったり、どう考えてもタイアップを意識したこの感じ。

このフレーズは朝から夜の時間の移り変わりを描いているわけだが、主人公は猫のように街と街を往来している(要は職場と家を往来するだけの存在)サマをを描いているわけだ。

忙しい仕事、特に納期に追われる感じの仕事をしている人はこうなりやすいのである。

硬い思念 柔い思考 近い想い 遠い記憶 髪の毛の癖 
狭い視野 広い交遊 長い沈黙 短い挨拶 声のトーン

こういうメロディラインだと韻を踏みたくなる人も多いけれど、岡崎はそれをしない潔さ。(まあ、硬いと柔いも韻を踏んではいるけれど、それよりも韻については単語の末尾が大事なわけだしね)

ちなみに、思念と思考は微妙に違いがあって、思念とは心の中で考えていることを意味する言葉であり、思考とはその思念に至る過程を指す言葉となる。

要は思考した結果、思念が出るという感じだ。

このフレーズ群で、どういう場面を想像するのかは聴き手によるかもしれないが、この歌は最初のフレーズも含め、景色を思い起こさせるようなフレーズとなっている。

脳内に映像を喚起させることで、よりアニメとシンクロさせやすくする作りになっているというわけだ。

互いに違う目の奥の光 条約にない友好の跡 
永久の砂を攫う広い海で

原作は辞書作りの話である。

「舟を編む」をまったく知らない人はググれば、大まかなあらすじはわかるはずだ。

で、「永久の砂を攫う広い海」とは、まさしくその辞書作りを指す言葉である。

永久の砂とは、辞書に載せられる単語の意味ひとつひとつを指している。

広い海とは辞書そのものを指しているのだろう。

また、辞書作りとはチームで進めていくものであり、それぞれモチベーションも違うし、一人一人個性も違うが、それでも少しずつ絆を深めていきながら完成に向かうサマを描いているわけである。(そして、そのやり取りこそがこの物語の内容に直結するわけだ)

対義や類義の疎らな波に呑まれては沈んで
正面衝突 正反対も解いては結んで
論及 論決 幾星霜に散らばる言葉を集めて拾うよ
潮風薫りゆく 浜辺に浮かべた繋がりは一つに

ちなみにタイトルは「潮風」だが、実は原作でも「潮」のついた言葉がキーワードとなる。

そこにあやかって、このタイトルをつけたことは間違いないであろう。

ちなみに、幾星霜とはたくさんとかそんな感じの意味である。

このフレーズは前述のフレーズと似たようなことを触れている。

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2番をみてみよう。

夏の駅に眩んだ電光 ワイシャツの襟に滴る勤め汗
冬の雨にくすんだ憧憬 薄めた絵の具で線を描いた

ここも景色優先の言葉が並べられる。

また、景色を描く場合、心象も描くことが多いわけだが、「くすんだ憧憬」や「薄めた絵の具」ということから、視界が涙でぼやけていることがわかる。

では、主人公はなぜ泣いているのか。

嬉し泣きか悲し泣きかを想定するわけだけど、フレーズを読むと主人公は仕事終わりであることがわかる。

夏なのにもう真っ暗になって駅に電光が点っているということは、遅くまで仕事をしたことが想像されるわけで、この場合でいきなり嬉し泣きは少し違う気がする。

このように、部分の部分の景色を切り取って、読み手に想像させるような歌詞となっているわけだ。

現実/空想 優秀/劣等 賛成/反対 実践/理論
酷評/絶賛 応用/原理 解放/閉鎖 以外/以内 未来/過去

なんかBRAHMANの歌詞みたいだなーとか勝手に思ってしまったフレーズ群。

言葉の対比を並べることで、理想と現実に苦しんでいる主人公の悩みを浮き彫りにするわけだ。

裸眼でなぞった普段の景色 片手で掬(すく)う現代の用途
当て所なく嵩張る更新の音で

これは辞書作り作業について触れたフレーズだろう。

現代の用途とは、辞書に各言葉の最新の用途を考えていることだろうし、ひとつひとつの言葉を検証して更新
していく気が遠くなるような作業のことを書いているわけである。

対義や類義の疎らな波に呑まれては沈んで
少年少女の青春譚も紡いでは削って
根本 根底 見据えた景色は同じ色してる旅だと祈るよ
潮風香り立つ 潮にゆだねる想いは二人で

潮という言葉がキーワードになるのは、原作を読んだ人なら周知のことなのである。

仕事を通して違う個性の人たちが、やがて同じ想いを宿す奇跡と軌跡について歌っているわけである。

対義や類義の疎らな波に呑まれては沈んで
正面衝突 正反対も解いては結んで
論及 論決 幾星霜に散らばる言葉を集めて拾うよ
潮風薫りゆく 浜辺に浮かべた繋がりは一つに

そして、一番と同じサビで歌を締めくくるのである。

普段よりも難しい言葉を使っているが、描いている景色はそんなに難しいものではないだろう。

色んな色の曲が書けるという意味で、岡崎体育のセンスには脱帽するばかりである。

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