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もちろん、音楽ファンは増えるに越したことはないと思う。

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けれど、音楽ファンの人口が増えるに越したことはないのは、その背景として音楽ファンが増えたら音楽市場は活性化して、色んなバンド・アーティストが活動しやすくなり、それ故日本の音楽シーンが盛り上がるから、というのが前提としてあればの話だと思う。

が、音楽ファンが増えれば弊害だってあるわけだ。

例えば、どうしても自分と離れた世代が増えれば増えるほど、同じ「音楽好き」でも自分と楽しみ方が違い、趣味趣向も変わってくることになるわけだ。

下手すれば、こんなことになるくらいなら、ファンなんて増えない方がよかったと思うことだってあるのかもしれない。

まあ、世代の話はここでは置いておこう。

ただ、それを脇に置いたとしても、数を増やすことだけに注力していても良い状態ではなくなることがある、というのは音楽が好きな人ほど痛感していることではないかと思うわけだ。

というわけで、音楽ファンを闇雲に増やすことだけに注力すれば、どんな弊害が起こるかについて考えてみたい。

・音楽ファンと言いながら一切音楽にお金を払わない人間の増大

要は、無教養な人が増えてしまう恐れがあるという話。

この無教養とは、知識というよりもモラルなんかの話に近い。

例えば、幾らファンの数が増えても、そいつらが一切お金を払わなければ意味がないわけだ。

実際問題、音源にはお金を払わないことが当たり前になっているファン層は増大している。

とはいえ、お金を払わないと音楽が聴けない世の中にしたら、おそらくほとんどの人はそこまでして音楽聴きたいとは思わないだろうから、ほとんどの人の生活から音楽が消えてしまうだけになってしまうと思うのだ。

だから、教育をして幻想を植え付けないといけない。

音楽がないとあなたの生活は荒んだものになるし、音楽さえあればあなたの生活は格段に豊かになるという考えである。

そして、そんな素晴らしい音楽を生産するためには、しかるべき形でお金を払わないとその作業を継続することはできないというところまで理解させないといけないわけだ。

まあ、音源にお金を払う余裕なんてないほど、庶民にお金を分配できていない(要は給料が安くて娯楽にお金を払う余裕なんてない)社会にそもそも問題がある気もするのだが。

けれど、給料と音楽にお金を払うは、直接ではなくても間接的には繫がっている話である。

なぜなら、みんながお金を使えば経済はまわり、経済がまわれば景気は良くなるわけだ。

で、景気が良くなれば(本来であれば)給料も上がり、みんなが少しずつ裕福になるわけだ。

つまり、何もかもを無料でコトを済ますのではなく、音源であれなんであれ、お金を払うことがある程度は当たり前に考える世の中にした方が、長期的にみれば、経済的にも音楽シーン的にも絶対にいいはずなのだ。

ここで言えるのは、ひとつ。

ミクロの視点ではなく、マクロな視点でモノを考えてみてほしいということ。

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・母体が多すぎて同じ音楽好きのはずなのに衝突しか生まれていない状態

音楽ファンが増えると衝突も起こりやすい。

例えば、今年大作戦にRADが出演したが、このRADのライブではダイバーが大量発生した。

もしこれがその辺の普通のフェスで、一般的なRADが多数の状態であれば、おそらくTwitter上では「ダイバーマジ死ねよ。ちゃんと音楽聴けんかったし。髪ぐちゃぐちゃだし気分最悪。マジ死んでほしい」って感じになると思う。

が、京都大作戦ならば、かなり好意的にダイバー大量発生を受け止めているようにみえる。(もちろん個々によって違うことは承知であるが)

なぜこういうことになるのかといえば、大作戦に参加している人はダイブに肯定的な人が多いからだと思う(ダイブ全面否定の人がわざわざ大作戦に参加なんてしないだろうし)。

要は、音楽に対するスタンスが同じ人が集まると、ひとつの現象に対しても好意的な反応が生まれやすいし、オーディエンスの熱量や反応も良いものを生み出しやすいわけだ。

余計な争いが生まれない、ということである。

逆に様々なタイプの人が集まると衝突も起きやすいし、お互いの文化が理解できず、ライブに対して不快な感想を抱く人も現れやすい。

ということを考えれば、無理にファン層を広げるよりも、同じ価値を共有できる人を少しずつ増やす方が音楽シーンに形成を考えると、良いのではないか、という話である。

増やし方に少し慎重になる方が、結果としてシーンに良い影響を与えるのではないか、という話である。

・ライブマナー・モラルの低下

無料でライブを開催すると普段はライブに行かない人がごっそりとライブに行くから、マナーやモラルが低下しがちと感じる人は多いのではないかと思う。(また、無料になると予算がないため、マナーやモラルの悪い人を注意するために、スタッフを十全に配置できないという実情も合わさるため、なおその印象が強くなってしまう)

要は、一気に「初心者」の数が増えてしまうと、場が荒れやすくなってしまうというわけだ。

会社だって、いきなり社員の大半を入れ替えたら仕事が回らなくなると思うのだ。

一般的な組織論では、人の入れ替えは全体の2割ほどにしておくのが良いと言われている(だから、新卒採用もそれくらいの割合を予定採用人数にしている会社が多かったりする)

有料におけるワンマンライブなら、古参と新参のバランスが良好な状態で保たれるから、場が安定しやすいわけだ。(また、いきなりブレイクしたバンドの現場が荒れやすいのは、新参が一気に増えるからに他ならない)

別に、各バンドの新参を取り込む数は毎回2割程度に留めておきましょう、なんてバカな話をするつもりはないが、ファンが増えることは絶対正義という価値観に支配されていると、ファンのバランスが崩れてしまい、結果、現場が劣悪なものに変わってしまう恐れ、というのはあるのかもしれない。

だからこそ、音楽をただ「ビジネス」として捉えるのは危険だったりするわけだ。

とりあえず、個人的には、僕が完全なジジイになっても、音楽という「場」や「文化」がしっかり残っていてくれたら、それがなによりだと思うのだ。

ただ、そういう永続性みたいなものを考えるとき、安易に「音楽ファン」を増やすということだけに躍起になるのは危険かもしれないという話。

カミコベでも、あんなことがあったわけだし、改めてファンの増やし方は考え直してもいいのかもしれない。

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