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WANIMAがなんで売れたのかを改めて考えたい。

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ただ、この記事では、キャラクター性とか物語論的な話をしても仕方ないので、今回は極力音に絞って話を進めてみたい。

が、その前に少し雑談をしよう。

若者に流行る音楽ってのは、基本前の先人の音楽を否定する、カウンターカルチャーな一面を持っていることが多い。

それは、言い方を変えれば「音楽が更新されていく」瞬間に立ち会あっているともいえるわけだ。

なんだかんだで、売れる音楽というのは「模造品」ではなく「更新」の要素を持っているというわけだ。

で、この「更新」には二つのベクトルがあって、ひとつは歴史性に対するアンチテーゼで、もうひとつは横を意識した新たな要素の内包があると思う。

「歴史性に対するアンチテーゼ」とは、平たく言えば「ロックって、こういうもんでしょ?」という価値が固まりかけたタイミングで、「うるせえ!こんなパターンはどうだ?食らいやがれ!」みたいな状態を指す。

例えば、早弾きギターソロが持て囃されたタイミングで、ノイズ塗れのギターロックを投入してみたり、硬派なギターロックこそがロックだと言われたタイミングで、ダンス系ロックが生まれてくるみたいな感じで、固まった価値を転覆させる音楽が新たに生まれ、その新しさで若者を魅了するわけだ。

もちろん、なんだかんだでどんな革新者でもルーツを探れば過去の音楽にあるはずなのだが、それを模倣しつつも個性を求めていくうちに、いつしか自分のルーツを否定するような音楽が出来上がったりするのである。

つまり、個性を獲得するためにはスターウォーズ的な「父殺し」をする必要があるわけだ。

もちろん、父親的なルーツがそれと分かるように生かしつつも、己の個性を獲得するバンドもいる。

そういうバンドは基本的に「横に対する嗅覚」が優れているバンドであると言える。

この「横に対する嗅覚」とは何かと言えば、海外音楽の参照も挙げられるだろうし、他ジャンルの横断=ロック以外の音楽の参照を挙げることもできるだろうし、音楽に限らずファッションやゲームや映画など、ありとあらゆるカルチャーの吸収を挙げることもできると思う。

さて、話をWANIMAに移すと、WANIMAの音楽的歴史性は、おそらくハイスタやモンパチが重要になると思う。

で、WANIMAはハイスタやモンパチを否定したような音楽を作っているかというと、そんな風には見えない。

むしろ、若者はもちろんハイスタやモンパチが好きだった人にも迎合されているからこそ、WANIMAは人気であるわけだ。

では、他ジャンルの横断がキーポイントなのだろうか?

WANIMAの音楽のベースはメロコアにあると思うが、確かに楽曲によっては、フォーキーな匂いをさせたり、レゲエの匂いをさせたり、ヒップホップの匂いをさせたりする。

それこそ、彼らの新譜で言えば「CHARM」はフォークソング的なエッセンスを組み込んだ楽曲だし、「ララバイ」はレゲエ的エッセンスやスカっぽいノリを内包した楽曲である。

でも、メロコアだけどレゲエの香りがするバンドなんて幾らでもいるし、フォークソング性だって特別珍しいわけでもない。

であれば、何がポイントなのか?

この記事では、もう少し彼らの音楽に踏み込んで考えてみたい。

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1.ボーカルの話

WANIMAが人気なのは端的に言えば、歌が良いからだと思う。

じゃあ、歌が良いとはどういう状態を指すのか?という話だが、これは歌(ボーカル部分の要素)と音楽(バンド部分の要素)に分けて考えることができると思う。

言ってしまえば、この二つの歯車がキレイにはまっているから「たくさんの人がハマる」状態になるわけだ。

そこで、まずは歌(ボーカル)について考えてみたい。

WANIMAのボーカルであるKENTAの声。

この声は、メロコア界隈でもありそうでなかった声のように思う。

メロコアっておっさん的ボイスが氾濫していたし、汗臭いながらエモーショナルというか、どでかいバンドサウンドに声が埋もれないように力強くあるべき的な価値が氾濫していたように思う。

その一方で、オルタナティブだったり、ダンスロック系的なバンドのボーカルは女子受けを狙っているためか、ハイトーンなボイスのバンドが氾濫するようになる。

喉を締め付けてでも、多少声のパワーを失うことになったとしても「甘さ」と「声の高さ」を重視するような発声をするバンドが増加は今のロックシーンを見てもわかると思う。

あるいは、フジファブリックの志村のように、あえて抑揚欠いて、感情を表に出さないような「平たい声」を志向するボーカルもいるし、初期のアジカンのように、音程がメロディーからはみ出てもいいから絶叫することで、己のエモーショナルを大事にさせるバンドもいたりした。

けれど、WANIMAのKANTAの声は、前述のどのカテゴリーにもハマらない。

感情豊かな声だけど、極端なエモーショナルには走らないし、ゴリゴリな男声というわけでもなければ、どっかのサブカルバンドのような汚いハイトーンボイスを出すこともしない。

どちらかというと、前述全ての要素をちょうどいい按配でブレンドしたような「軽さ」があるからこそ、KENTAの声はたくさんの人を魅了させるようになったのではないか?

あるいは、KENTAのボーカルのみだったり少しパワー不足だったのかもしれないが、楽曲のほとんどのメロディーをハモることで、そういう問題も解消している。

むしろ、ハモっている状態が通常だからこそ、ハモリがなくなったときのKENTAのみのボーカルが妙にセンチメンタルに響き、「エモく」感じやすくなり、よりボーカルが刺さりやすくなった一面すらあるのではないかと思うわけだ。

要は、あの声があったからこそWANIMAは人気になったのだという話。

2.バンドの話。

次に、音楽(バンド部分)の要素の話だが、実はこれは3つの要素に分類できる。

リズム、メロディー、コードである。

さて、WANIMAのコードは基本ベタだし、ベースはほぼほぼコードのルート音をなぞるだけで、余計な主張をすることはない。

ドラマはほとんど四つ打ちであり、四つ打ちの中に変化を生んで、緩急をつけるような構成をしている。

メロディーは書き始めたらキリがないので、一旦割愛。

まあ、要 これだけみれば、WANIMAのやってることは他のバンドと似たり寄ったりも気もする。

けれど、WANIMAは飽きっぽい今の若者を簡単に飽きさせないようにするため、ベタな楽曲の中にも、常に変化を起こすような工夫を色々と散りばめている。

例えば、「CHARM」。

この歌はBPMが200ちょいくらいでありながら、WANIMAの楽曲では少し遅く感じる不思議な楽曲である。

基本、ギターはほとんどコード弾きのシンプルなバンドサウンドで構成しているわけだが、入りはフォークギターをベースに持ってきている。

で、ここのフォークギター部分のサビだけは他のサビとコードの使い方が少し違う。

メジャーセブンスを使ったコードを入れ込んでいるのである。

アコギ部分のサビではメジャーセブンスコードが2回登場するのだが、このコードは浮遊感を感じさせる、インパクトがあるもののバランスを崩しやすいコードである。

このコード、エレキパートきは入れていないので、以降ではセブンスのコードの響きは出てこない。

つまり、冒頭のアコギ部分だけ、わざとバランスを崩し、以降のエレキではその浮遊感は不要と感じ、セブンスは取っ払ったわけだ。

おそらく、アコギ部分は聴かせることを意識している部分だから、コードに意識が向きやすく、あえてセブンスの響きを配置することで、エレキ部分とは違う感触を与えようとしたのでろう。

で、エレキ部分のサビはとにかく盛り上がることが大事だから、浮遊感は捨てて、安定を優先させるベタなコード配置に変更したのである。

このベタと浮遊の落差を作ることで、アコギパートに妙なエモさを宿るようになったのではないだろうか?

そして、エレキパートは「安定感」をより強いものにさせるために、サビでは「ヘイヘイ」という掛け声を2回入れてるし、 一緒に声を出して盛り上がれる仕掛けを作っていたりもするわけだ。

つまり、WANIMAの楽曲は各パートの情報の与え方は極力シンプルにしつつも、ポイントポイントは押さえるような構成にしており、それ故、一度聴けば病みつきになりがちなのかもしれない。

要は思っている以上に、WANIMAの音楽って工夫があるんだけど、それをやらしく出さないのが凄さなのかもしれない、なんて思ったりする、というのが結論。

メロディーについては書けば色々あるけど、長くなるので、機会があれば書きます。

以上。

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