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そもそも「ガールズバンド」という言い方が妙と言えば妙である。

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この言葉の裏側にあるのは、バンドというものは野郎どもがするものである、という決めつけがある。

女だけでバンドを組むのはなんだが物珍しく見えるから「ガールズバンド」なんていう括りをして、それをジャンルにしてしまうのである。

ガールズアイドルなんて言葉はないわけで、なんでバンドだけ「ガールズ」という言葉を頭に付けることがあるのかといえば、バンドは男のものだという意識が潜在的にあるからわけだ。

なーんて話を始めてしまうと、なんだかやたらフェミニスト臭くなってしまう。

臭いのは足の裏だけで十分である。

けれど、確かに売れてるバンドの総数やフェスのラインナップをみても、ガールズバンドの数は明らかに少ない。

その辺の軽音楽部とかなら、わりと女子だけのバンドっているはずなのに、プロになると途端にその総数が減るわけだ。

ちなみに、AIR JAMのステージに立つことができた女性は今のところ、ホルモンのナヲだけである。

このことからもわかるように、「ガールズ」はロックの世界ではまだまだマイノリティーなのだというわけだ。

だから、女子だけでバンドを組むと、それだけでジャンルになってしまい、「ガールズバンド」という括りをされてしまうのである。

たまに赤い公園とtricot辺りを「ガールズバンド」として括って、同じラインで語る人がいるが、メンバーの性別以外はやってることも目指してることも全然違うわけで、本来なら一緒に語るのは不可能なのに「ガールズバンド」という言葉のマジックがそれを可能にするのだから、恐ろしい話である。

ロックの世界ではガールズはマイノリティーなわけだ。

とは言いつつも、フェスの出演する女性アーティストの数は増えているし、ロッキンなんかは特に女性アーティストの出演が多い。

ガールズバンドは少ないのに一体誰が出てるの?という疑問が生まれるわけだが、ラインナップをみてみると「きゃりーぱみゅぱみゅ」とか「神白石萌音」とか「水曜日のカンパネラ」のようなソロアーティストか、「Little Glee Monster」とか「チームしゃちほこ」とか「ももクロ」とか「欅坂46」とか、いわゆる「バンド」ではなく「アイドル」と分類されるグループの出演が多いことがわかる。

まあ、こんなこというと、リトグリはアイドルじゃなくてボーカルグループなんです!とか、ももクロをその辺のアイドルと一緒にしないでほしいとか、実に香ばしい反論がなされそうだが、アイドルについての議論に関して、当サイトの別の記事に書いてあるので、興味のある人はそちらを読んでほしい。

ここで何が言いたいのかというと、ロックフェスと言いながらも、女性に限った出演数でみたら、バンドよりもバンド以外の人間が多いということである。

女性アーティストの求めているのはこういうことなんだよ、と言わんばかりに。

そもそも、ガールズバンドの立ち位置というのも確かに微妙なものではある。

メンバーの見た目が良いと、アホなおっさんがファンとして粘着してきて、メンバーは「我々はアイドルではなくて純粋にみんなに音楽を届けたいのだ」みたいなことを口酸っぱく言ってみても、フタをあけてみたら、アイドル現場ノリを踏襲したブヒオタなおっさんに貢いでもらい、そのおかげでメシが食えている、みたいな事例もあったりする。

で、メシを食うことに妥協して、ブヒオタおっさんを少しでも喜ばせるべく、インスタに自撮り写真をあげちゃったりするわけである。

実際、ガールズバンドという言葉を使う場合、ふたつの捉え方があるように感じる。

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アイドルのジャンルのひとつとして捉える「ガールズバンド」。

そして、ロックバンドのジャンルのひとつとして捉える「ガールズバンド」。

同じガールズバンドでも、バンドごとにリスナーからの見られ方も、立ち位置もまったく異なるわけだ。

これは実際にいるガールズバンドを見ればよくわかると思う。

例えば、俺が中高生だった頃に人気とだったガールズバンドは下記である。

GO!GO!7188
Whiteberry
ZONE
チャットモンチー

その中でも、7188はサブカル女(というより、自分は流行りに流されないこと感を出してる女)に好かれ、チャットモンチーはロック畑の中の人間からアイドルとして見られつつも同世代の同性からも、音楽的格好良さ故の羨望の眼差しで見れていたような感じがする。

さっきの話でいえば、このふた組はロックバンドのジャンルとしての「ガールズバンド」的な扱いが強かったわけだ。

一方、ZONEはアイドル好きな人間から好かれていたし、人によっては、バンドやってるアイドルくらいにしか認知のされていなかったのではないかと思うし、Whiteberryに至っては夜空に消えていった打ち上げ花火のような一発屋としてしか認知されていない感じだった。

シャカラビとかホルモンのナヲのように野郎どもに混じるレディはロックの仲間として認められていた風潮があったが、メンバー全員が女子で「ガールズバンド」というカテゴライズに嵌められると、途端にまずはアイドルとして見るかバンドとして見るかの、そもそもな関門に立たされがちだったわけである。

さらに、2009年に放送された、アニメ「けいおん!」がさらに、ガールズバンド=アイドル的なものという認識を強めたのではないかと勝手に思ってる。

まあ厳密にいえば、銀杏BOYZみたいなガールズバンドもいたにはいたのだ。

が、びっくりするほど、そういうバンドは売れなかったし、イベントとかに登場しても、ロックファンですらわりと引かれることが多かった。

男ならアリな「キチガイパフォーマンス」も、ガールズになると、急に引かれてしまうのだ。

性別によって、求めているものが違うという人が多いということを表す事例であるとともに、だからロッキンなんかのフェスは「ガールズバンド」より「アイドル」の数が多くなるという事例を生んでしまっているのかもしれない。

とはいえ、ロックの世界の状況は色々変わってきている。

まず、お客の種類(という言い方が良いのかはともかく)は変わった。

女の人も増えた。

90年代ならジャニヲタに流れていたような人も、今は邦ロックに流れているような印象を
受ける。

また、昔はライブハウスにうろつくような女なんて、自分は周りと違うことをアピールしたくて仕方がないような、自意識のカタマリのような人間ばかりだったのに(いや、そんなこともないっちゃないけど)、今はライブハウスにいる女の人、と一口に言っても色んな人がいる。

ゆるふわ系女子がライブハウスに通うなんて、ほんの数十年前は考えられなかった話である。

お客の層は変わったわけだ。

さて、ガールズバンド側はどうだろうか。

個人的な所感で言えば、男女混合バンドはすごく増えたが、ガールズバンドはあんまり増えていない印象を受ける。

故に、今でも「ガールズバンド」というだけでひとつのカテゴライズにされがちだし、メディアもそういう切り口でガールズバンドを紹介することが多い気がする。

まだまだガールズバンドはある種の偏見と立ち向かいながら活動していることが多いわけだ。

実際、今のガールズバンドの勢力図って、人気とか集客数という点だけで言えば、SHISHAMOが完全に天下を取ったと思う。

そしてその下で、中堅ライブハウス系バンドがモリモリ活動をして、さらにその下に、リーガルリリーとかyonigeとかHump Backとかがバリバリ活動している、というような印象を受ける。(勝手なイメージだが)

その一方で、Silent Sirenのように、最初からアイドルとして見られることを承知の上で活動する系バンドもいるわけで、結局のところ、アイドルというジャンルの中での「ガールズバンド」と、ロックバンドのジャンルの中での「ガールズバンド」という二大路線の踏襲は未だに根強く残っているし、どのバンドとそれを踏まえた活動をしがちなわけである。

ところで、なんでSHISHAMOはガールズバンドの中で天下を取ったのだろうか。

それは彼女たちのビジュアルがあまりにもアレでアイドル的扱いを一切受けなかったから、
常にバンドとして「成長」をしてきたからだと思うわけだ。

つまり、ライブをするごとにどんどんライブが良くなってきている、というわけだ。

よく、最近の朝子はエロくなってきた、みたいな言い方をする人がいるが、要はそれだけ歌に感情を込めるのが上手くなり、それが佇まいにも反映され、オーラというかフェロモンというか、そういう目に見えないスピリチュアな要素がビンビンに放たれてきているというわけだ。

これって、実はアイドルのジャンルとしてのガールズでも、ロックバンドのジャンルとしてのガールズバンドともまたちょっと違う、独特な立ち位置に足を置き始めたのではないかと個人的に思っている。

つまり、SHISHAMOの行く先というのは、ガールズバンドの新たな可能性を切り開く、重要なパーソンなのではないかと思うわけだ。

おそらくSHISHAMOがガールズバンドどころかフェスシーン、あるいはロックシーンのひとつの頂点に立つときには、「ガールズバンド」なという括り方がそもそもダサいものとなり、もっと違う言葉が勢力を持つようになるのではないか、と個人的にはそう思っていたりする。

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