京都大作戦のメンツが全て発表された。

スポンサーリンク

自分の好きなバンドが発表されなかったから残念がる人もいれば、予想していなかった自分の推しバンドが発表されて興奮のあまり射精してしまった人もいると思う。

まあ、大作戦の良さって、10–FEETの主催フェスでありながら「まさかそのバンドが出ちゃうとは」って意外性があるところだと思うし、普段はベタなライブしかしないバンドも、この日限りは10–FEETに影響されて、いつもとはちょっと違う「エモさ」を見せたライブをしたりするわけで、そういうのが楽しみだったりする。

ところで、京都大作戦といえば、主催者である10–FEET。

折角の機会なので、この記事を通して京都大作戦に興味がある人もない人も、10–FEETってバンドをよく知っている人も知らない人も、改めて10-FEETというバンドの良さってどういう所なのか、ということをみていきたと思う。

1.メロディー

ここでわざわざ述べるまでもないだろうが、10-FEETの楽曲はメロディーがグッとくるものが多い。

しかも、このメロディーの良さって、どんな曲にも当てはまる。

「super stomper」や「goes
on」のようなアップテンポの楽曲はもちろんのこと「蜃気楼」や「風」のようなミドルテンポの曲も、メロディーの良さでグッと引き込まれる。

個人的には『4REST』というアルバムに収録されている「LITTLE MORE THAN BEFORE」がすごく好きだったりする。

メロコアバンドって、ライブの性質上、アップテンポの曲ばかりが評価されがちだけど、10–FEETの真骨頂はバラードやミドルナンバーにある。

歌詞が良いからというのもあるけれど、土台にあるメロディーがしっかりしているからこそ何回でも聴きたくなるわけだ。

濃いめのファンだけではなくライトなファンにとっても、ミドルテンポの曲やバラード曲がハイライトになるようなメロコアバンドって、それこそ10-FEETくらいじゃないないだろうか。

長いキャリアを積んでも未だにハズレのない良曲ばかりを量産している彼ら。

なぜ、こんなにも聴いていて気持ちよい音楽ばかりが作れるのだろうか?

理由は色々あるとは思うけれど、彼らがライブバンドである、ということはすごく大きいと思う。

20周年を迎えたベテランバンドでありながら、未だに参戦するフェスの数が尋常ではないことからもわかるとおり、とにかく彼らが消化するライブの本数には目を見張るものがある。

ライブで常に感覚が磨かれるからこそ、たくさんの場数を踏んで少しずつアップデートしているからこそ、10-FEETの作り出す音楽は20年経っても色褪せないのである。

2.ジャンル幅が広い

基本的に彼らの音楽はメロコアというジャンルに括ることになるんだけど、彼らの音楽性はそういう括弧書きにはできない幅広さがある。

ロックという軸だけでみても、パンク、メタル、ミクスチャーなど色んなジャンルに精通している。

さらに、そういう「ロック」という下地がありながらも、レゲエ、ヒップホップ、ボサノヴァなどの他ジャンルのエッセンスも貪欲に取り込んでいる。

化粧でいうならばロックが下地で、レゲエやヒップホップはさしずめファンデーションといったところだろうか?

え?そんな喩えどうでもいいって?

文字で説明してもぴーんと来ない人も多いだろうから、実際に曲を聴いてみてほしい。

この歌はギターを細かくミュートすることで「チャカチャカチャカチャカ」って音を鳴らしてスカのテイストを全面に出している。

BPMの速いテンポで、この「チャカチャカチャカチャカ」がやってくるので、踊り出さずに居られないワクワク感が生み出されるのだ。

この歌は、スカというジャンルを10–FEETの音楽に組み込んだ好例である。

ちなみに、この「チャカチャカチャカチャカ」をテンポダウンして採用したのがこの歌である。

Aメロにおいて、ギターをストロークした後すぐに音をミュートすることで「チャカチャカチャカチャカ」とギター音をぶつ切りに鳴らし、ある種のビートを作っている。

この点では「SHOES」も「その向こうへ」も同じである。

けれど、ふたつの楽曲が作っている空気感は大きく違うことがわかる。

平たく言えば「SHOES」はなんだか明るい感じするし、「その向こうへ」はなんだか泣き歌っぽい感じになっている。

楽曲のテンポもその理由のひとつとして挙げられるけれども、より大きな違いはそこで鳴らされているギターのコード感である。

「その向こうへ」はマイナー調のギターの音色が前に出てきており、独特の哀愁を放つわけだ。

そういえば、ボーカルギターのTAKUMAはライブで泣かせにかかるエモいMCをするとき、絶対にスローなストロークでマイナーコードのギター音を鳴らして「しんみり感」を演出する。

こういうMCひとつ取っても「言葉」と「ギターの音の載せ方」にこだわるから10–FEET。

そりゃあ、どこまでも「感情に語りかけている感じ」の音楽が出来上がるわけである。

話がそれた。

ここでしたのは、ジャンルの話である。

この歌を聞いて欲しい。

この歌のAメロはすごくレゲエっぽいリズムを取り入れている。

そこからサビにかけて激しい躍動感をみせるわけだが、この辺りの「一曲の中でジャンルを横断する感じ」というのが10-FEETらしい音楽センスだなーと思うわけだ。

その辺のメロコアバンドとの違いという話で言えば、この「ジャンルに対する幅広さ」が挙げられることは間違いない。

スポンサーリンク

3.TAKUMAの声と発音

さっきのジャンルの話とも繋がるが、TAKUMAは楽曲における声の使い分けがすごい。

ダミ声やデス声を一人で使い分けているし、咆哮することもあれば、美メロを美しく歌い上げることもあって、これ、ほんとに一人で歌っているのかって感嘆する曲も多い。

先ほど動画をあげた「その向こうへ」もAメロとBメロで歌い方を変えていることがわかる。

そして、サビでは咆哮に似た歌声を張り上げることで、より情動を強くしていっていることがわかる。

10–FEETって土台のロックサウンドに+αな要素がくっつくことで、他のメロコアバンドにはない独自性を生み出すことが多いんだけど、こういうTAKUMAの歌い方がよりその色を鮮やかにしているフシがある。

あと、声。

TAKUMAの声って、正直そんなに綺麗な声ではない。

歌もぶっちゃけ上手くない。

けれど、色んな声色を使ったり、日本語歌詞を歌う場合はその言葉にどういう感情を載っけたらいいのか?ということをすごく考えてながら歌っているため、すごく「気持ちが伝わる」音楽になっているわけだ。

だから、10-FEETの音楽ってたくさんの人の心をぐっと掴むエモーショナル性があるわけだ。

ちなみに、10-FEETの歌を聴いていると、たまにやたらとハイトーンなボイスの声が聴こえてくることがある。

もしやこれもTAKUMAが一人でやっているのかな?歌い方を変えるだけじゃなくて声質まで変えられるのかー音域広いなー凄いなあーなんて思った人もいるかもしれない。

安心してほしい。それは間違いだ。

ハイトーンなボーカルをしているのは、ベースのNAOKIである。

ちなみに、このNAOKIのコーラスが、メロディーを気持ち良く届けるうえで果たしている役割も大きい。

ハイスタであれモンパチであれオレンジレンジであれWANIMAであれ、キャッチーなメロディーを武器としているバンドは、それ以上に印象に残るハモりを行っており、それによりメロディーのキャッチーさが際立つ。

ギターボーカルのTAKUMAが太い声で主旋律を歌う。ベースのNAOKIがハイトーンなボイスでTAKUMAの声に寄り添う。

このような共犯関係があるからこそ、10-FEETの歌はより鮮やかに彩られるし、他にはない圧倒的な存在感を放つのである。

まとめ

そして、これまでの項目には書かなかったけれど、10–FEETはやっぱりライブだと思う。

思いっきり笑えて、思いっきり泣ける。

それが10-FEETのライブの良さだ。

TAKUMAは常にユーモアを持ちながらMCをするし、大事なことを話すときはエモいギターを鳴らしながら、心に刺さる言葉を届ける。

誰かを過度にdisって笑いに変えるようなことはしないし、少なくとも「身内」に対してどこまでも優しい眼差しで、みんなの良いところも悪いところもひとつひとつ見つめたうえで肯定しながら、そっと背中を押すような言葉をかけてくれる。

ユーモアとエモ。

このバランスがどこまでも絶妙だからこそ、10-FEETのライブは多幸感に満ちあふれたライブになるし、そんな10–FEETが主催している京都大作戦は他にはないピースフルな空気が流れるのである。

え?10-FEETって昔のバンドでしょ?スリーピースのレゲエ系バンドならWANIMAで十分だし。

そんなことを思っている若い人にも、ぜひ聴いてほしいバンドである。

関連記事:フォーリミ、アジカン、10-FEETなどから見るダイブ・リフトが生まれる楽曲の特徴について!

関連記事:寒さを吹き飛ばす熱いMCバンド特集

スポンサーリンク

LINEで送る
Pocket