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あるバンドに対して、昔は「よかった」という言葉を投げかける理由って色々あると思うけど、その根底にあるのは「俺がこのバンドに求めるのはこういうものである」というのが定まり、その期待に応えてくれなくなった時に出てきてしまうものだと思う。

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自分の思い出とそのバンドの現在に齟齬が生じると「あの頃の方がよかったのに」となっちゃうわけだ。(もちろん、単純に作る歌が好みに合わなかったり、スタンスがあからさまに変わってしまう場合もあるだろうけど)

アジカンの「ソルファ」の再録が昨年発売されたが、歌も演奏も当時とは比べ物にならないほど良くなっているのに「微妙」と感じる人がそれなりにいたのは、おそらく彼らがアジカンに求めていたのは「青臭さ」や「泥臭さ」だったからであり、「消してええええ」の「え」は音階的に言えば、「高いソ」になるんだけど、それを声を裏返えさずに歌い切ってしまうゴッチに「おれの好きなアジカンはこんなんじゃない」と文句をたれて、なんだか裏切られた気持ちになってしまうからだと思われる。

バンドは生き物である。

変わってしまうのは仕方がない。

一方で、活動休止をしているからバンド自体はまったく変わらないのに、その間にファンの方がどんどん変わってしまい、バンドから去っていく事例もある。

今回はthe telephonesを題材にして、そのことを考えてみたい。

the telephonesは2015年11月に活動休止した。

その後、フロントマンの石毛とノブはlovefilmというバンドを結成しているし、ベースの長島涼平は「フレンズ」でブイブイ言わせているし、他メンバーも別のバンドで音楽活動をしている。

どのバンドにも言えるのは、telephonesと音楽のジャンルが違いすぎているため、少なくともtelephonesのファンには響いてない感じがあり、そのままファンがスライドしているようには見えない。

そのせいなのかそうでないのかはわからないが、昔はtelephonesが大好きだったと公言していたファンの多くが、彼らのことを話題にしなくなった感がある。

Twitterのプロフィールで、電話ズを好きなアーティストに挙げていた人の数は相当減った気がする。

なぜこんなに減ったのだろうか。

理由は二つある。

ひとつは、彼らのファンが他のバンドに夢中になってしまった、ということである。

確かにロック界隈は次々と若手が登場してメインストリームに駆け上がっている。

少し休んでいる間に、シーンが様変わりするのはよくある話だ。

このことについて考えるうえで、より問題をクリアにしていきたいので、当時のtelephonesのファンが彼らに何を求めていたのかを考えてみたい。

はたして、当時のファンはtelephonesにどんなことを求めていたのだろうか。

①サークルでわちゃわちゃするための激しくて盛り上がる音楽をかけてくれたらそれでいい。

②ビートの速い音楽に身を委ね踊るように暴れてストレス発散できたらそれでいい

③ディスコーッ!!!

たぶんこんな感じだと思う。

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いや、もちろんこれはフェスでの電話ズの需要のあり方でワンマンはもうちょっと実情は違うよ、という指摘があるのはわかっている。

けれど、実際問題、彼らは「ディスコ」以外の音楽も作ったが、セールス的にもライブの反応的にもあまり宜しくない事実はあった。

こういう現実があって、自分たちの消費のされ方があまりにも画一的になっていることに嫌気がさした故、彼らは活動休止をしたという経緯もあると思うのだ。

では、そんなニーズにいま応えているバンドは誰だろうか。

人によってはベガスやSiMのようなタイプに傾倒した人もいるだろうし、KEYTALKやフレデリックのようなタイプに傾倒した人もいるだろう。

あるいはサークルとかモッシュ系の音楽からは足を洗って、同年代のバンドでもサカナクションとかドロスとかそういうものしか聴かなくなったという人もいるかもしれない。

要は完全に暴れる系のバンドにシフトしたか、ポストダンス系ロックを嗜むようになったか、ビートの速い音楽はまったく聴かなくなったか、のどれかである可能性が高い、ということである。

また、もうひとつの理由としてあるのは、乗り換えたのではなく、卒業したから。

電話ズが好きだった人は邦ロックの沼から這い上がり、フェス文化などにも卒業してしまったわけだ

telephonesが人気だった頃は足繁くフェスに通っていたが、最近はご無沙汰という人は確かに多い。

trlephonesがシーンに台頭してきたのは、2000年代後半から2010年代前半にかけてである。

もし2010年から彼らのファンだと仮定して、それは8年前の話となる。

当時18歳の高校生なら今は26歳の社会人、当時22歳の大学生なら今は30歳という、そこそこ社会に染まったお年頃となる。

どれだけ音楽が好きでも働き出すとライブやフェスにいく回数は減るし、結婚したり子供ができたらなおのことその流れは加速していく。

サカナクションやドロスのように明らかにライブハウスに通っていない人たちもファンとして取り込むことに成功しているバンドならともかく、そうでないバンドであれば、ファンのパイが減少してしまうのは無理ならぬことなのかもしれない。

バンドが生き物である以上に、ファンだって生き物なわけだ。

僕は「3年でファン層のひとつのサイクルが変わる」というのが持論であり、BUMPやRADみたいに次の世代のファンからも注目されるような仕掛けを作らないと、そのバンドは昔の人たちに思い出の産物になり、やがて誰からも忘れ去られる存在となる。

まあ、電話ズがそうなったとは言わないけれど、意外と早く電話ズのシーンにおける立場は変わるんだろうなあ、という気はしているこの頃なのである。

というわけで、早く帰ってこい。

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