以前Twitterの質問箱にくるりのことを書いて欲しいとあったので、くるりの話を触り程度かいてみたい。

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とこほで、おそらく若い子にくるりって凄いんだよ、って言ったところで「なんですごいの?」って話になりがちだと思う。

元々くるりって、昔のロッキンならグラスステージでパフォーマンスするほどに人気のバンドだったし、CDJの年越しアクトを任されたことだってある。

いつしか、そういうフェスのメインに出てもわりとガラガラになる事例が出てきてしまったのだ。

それに対する理由は幾つかあると思うが、ワンマンや主催フェスはしっかりソールドしているところをみると、フェスに能動的に行く層と、くるり好きの層が乖離してきたことが大きいように思う。

端的に言えば、若い子でくるり好きが少ないということ。

もちろん好き嫌いはどうだっていいんだけれど、くるりみたいなタイプのバンドが完全にスルーされるのは個人的には勿体ないなーと思うので、今回はくるりを掘り下げてみたい。

なぜ、くるりは凄いのか?

アルバムごとに装いがまったく変わる

バンドって文句を言われる宿命があって、少しでもバンドの意匠が変わってしまうと「初期が良かった」「インディーズの時の方が良い」「メジャーに行って変わってしまった」と文句を言われがちである。

そのくせ、同じことばかりしていたら「どれも一緒やん」「ワンパターンで飽きた」と文句を言われるのである。リスナーはワガママである。

しかし、くるりファンに限っては、そういう文句を言う人が少ない。

なぜならアルバムごとに作風がまったく変わってしまうからであり、且つ、アルバムごとに「過去最高」を更新してしまうからである(もちろん、好みはあるだろうが、好き嫌いを超越した変化を毎作ごとに見せてくれるのである)

ところで、若い子はくるりにどういうイメージを持っているのだろうか?

もしかすると、ボーカルはメガネをかけているせいで小難しい音楽をやってるように見えるかもしれない。

インテリ系のバンド的な。

確かに小難しいことをやっていることのは間違いないが、少なくともデビュー初期のくるりはエモーショナルなバンドだった。

歌うべきことがあるわけではなく、けれど、ずっとため込んだ感情を吐き出すかのように叫び、掻き毟るようにひたすら音を鳴らしていたようなバンドだった。

言ってしまえば「うるさいバンド」だったわけだ。

けれど、くるりのその性質はアルバムごとに変化していき、シャウトする代わりに音で何かを雄弁に語るようになる。

図鑑、TEAMROCK、THE WORLD IS MINE、アンテナ、NIKKI、ワルツを踊れくらいまでは、何の法則性も見出せないくらいに、アルバムごとに「音」が変わるのだ。

クラシックに素養をもつグランジ・メタルバンドでありながら、そのなかでポップもフォークもヒップホップもエレクトロもテクノも渡り歩くのである。

そして30代の最後のアルバムとなった「THE PIRE」に至っては、メインの音の裏の音の作り込みが半端なくて、もはやどこの国の音楽かわからないような、摩訶不思議なアルバムを完成させてしまったのである。

こういう進化があったから、くるりは圧倒的なバンドと評する人も多いわけだ。

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孤独を受け入れる強さ

もちろん、色んな音楽をミックスして、パッケージしてるバンドは多い。

KEYTALKであれ、フレデリックであれ、サカナクションであれ、パスピエであれ、そういう取り組みを頑張っている。

ただ、どうしても前述のバンドは、色んな要素を混ぜながらも「踊れる音楽」を志向するクセがある。

そのため、根底の部分は一緒になってしまうことが多い。

けれど、くるりはアンチ一体感を重視のバンドであり、盛り上がりを意識した曲作りなんかファックだと言わんばかりに、変なリズムの曲を作ったり、一癖も二癖もあるコード進行の曲を作ったりするのである。

孤独であることを受け入れる覚悟があるからこそ、くるりの音楽は面白いのである(そして、それが若者にウケない理由でもある)。

ところで、なぜそんな離れ業ができるのだろうか?

それは、くるりのフロントマンである岸田繁が黎明期からとんでもない音楽ディガーだったことが大きいだろう。

新旧問わず、自分にとって新しい音楽を掘りまくるのである。

しかも、その矛先は、国を超えた横軸と、年代を超える縦軸を兼ね備え、そのうえでクラシックからポップからロックまで幅広い参照するのだ。

たぶん、ここまで音楽をディグる人はそうはいない。

しかも、それをちゃんと自分の音楽に取り込んでしまうまでを完結させちゃう人はより少ない。

まあ、それはメンバーの入れ替わりが激しかったからこそできた荒技であり、くるりがこういうスタンスだったからこそ、メンバーの入れ替わりが激しかったわけだが。

時に、その姿勢をブラック企業と揶揄されることがあっとしても。

ところで…

くるりは2018年の新曲もヤバイらしい。

ただ、僕はこのヤバい新曲をまだ聴けていないので、この曲について語っていた

別の方の記事のリンクを貼り付けておく。

興味がある方は読んでもらえたらいいかと思う。

関連記事:個人的平成ベストソング50(バンド限定)

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