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不本意にベストアルバムをリリースされるアーティストは非常に多い。

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スピッツ、10-FEET、クリープハイプ、浜崎あゆみ、宇多田ヒカルなどなど名前を挙げたらキリがない。

それなりに輝かしい経歴を持つのに、長いこと第一線で活躍しているのに、ベストアルバム処女を守っているのは椎名林檎くらいなものではなかろうか。

いずれにせよ、どんなアーティストでも○○周年みたいな節目を迎えたらベストアルバムをリリースしがちだし、そこには大人の事情がたくさん絡まっていて、アーティスト側は不本意なケースがリリースされるという事例は多いというわけだ。

けれど、アーティスト側がどれだけ不本意な形でベストアルバムをリリースして、それに憤慨したアーティスト側は即刻黒歴史認定をして、「買わないでください」とSNSでアピールしたり、公式HPからその存在を抹消したりしても、リスナー側はそんなこと知らんこっちゃないのである。

例えば、10-FEETが大好きと公言してライブには足繁く通うようなファンでも、音源として聴いたことがあるのはいわく付きベストアルバムだけであり、そのアルバムも買ったのではなくTSUTAYAでレンタルしただけ、という人も珍しくはない。

別にベストアルバムしか聴かないことはファンとして意識が低い、とか毛頭いう気はないし、くるりやBase Ball Bearのようにアーティスト側から打診して納得した上でリリースしたベストアルバムだけを聴くのがリスナーとして正しいあり方だ、なんていうつもりもない。

気になるのは、ベストアルバムが良いとか悪いとかというよりも、むしろベストアルバムが稼ぎ頭になり、売り上げに困ったらとりあえずベストアルバムを出せばいいんだ、とレコード会社が思っていることである。

そりゃあ一度作ったものを再録するだけでそれなりに利益が出るのだから、まさに打ち出の小槌であり、ローリスクハイリターンであることには違いない。

でも、それは今だけの話。

もう少し未来になれば、ベストアルバムというパッケージが不要になるかもしれないし、その未来はわりと近くまできていることにもう少し自覚的になるべきだと思うのだ。

というのも、最近はストリーミング配信が伸びており、アメリカでは2016年度において、ダウンロード含めたパッケージの売り上げよりも、ストリーミング配信での売り上げの方が上だったという数字が出ている。(具体的な数字は後ほど明記)。

日本では、月額のストリーミング配信サービスに登録しても、そこに音源を提供していない(レコード会社に意向でしていない)アーティストが多く、結局、好きなアーティストが聴けない、という事例が多いからまだそこまで伸びてはいないが、それでも確実に利用者の数は増えている(正確な数字はわかんないので、後ほど追記)。

しかもアップルは今後、iTunes musicのストリーミングサービスに絞り、iTunes storeでのダウンロードの販売は止めるという噂がたってる(あくまでもまだ噂レベルだが)。

仮にそうなれば、なおのことパッケージを購入して音楽を聴く人は減ってしまうと思われる。

そして、今後ストリーミング配信の利用料金に極端な変化がない限り、この形で音楽を聴くことがベターになると思われる。(ガラケーを使う人が減って、若者のほとんどはスマホを使うことになったように)

ストリーミングサービスで音楽を聴くことが主流になると何が起こるのかというと、音楽を所有するという概念がなくなるということだ。

だって、ストリーミングサービスのクラウドにある音楽は聴き放題なわけで、有名アーティストの有名な楽曲、それこそベストアルバムに収録されるような楽曲ならば、大体はそのクラウドにあるはずだ。

であれば、そのクラウドにアクセスしたらいつでも聴けるわけで、ベストアルバムなんてものは不要になる(とはいえ、ストリーミング配信のアーティストごとの人気アルバムランキングてまは大体ベストアルバムが上位を占めているのだが)

クラウド主義になれば、ベストアルバムをリリースすることに意味が失われる可能性が高い

まあ、今はストリーミングサービスは使い勝手の悪いところもあって、ベストアルバムを再生しておくことに意味もあるのだが、そのうち音楽の選択のさせ方、ライブラリの保存法などに変革が生まれ、より便利になるだろうし、その頃にはよりリスナーに適した音楽の聴き方が実現していると思われる。

その頃に、果たしてどれだけの人がベストアルバムに価値を見出せるだろうか。

もちろんストリーミングサービスとして配信するのはベストアルバムだけにするとか、そんな対応をする余地はあるわけだが、それはあまり現実的ではない気がする。

だって、ベストアルバムのもともとターゲットはそのアーティストのヘビーなファンというよりは、今までそのアーティストの音源に手を出してこなかったライトユーザーや、活動歴が長いけど最近ファンになった人が、そのアーティストのことを追いやすくするためだと思うのだ。

けれど、今のライトユーザーはそもそも音楽にお金なんて使わない。

Youtubeとかを嗜んでいると思われる。

じゃあ、誰にむけてベストアルバムってリリースするのか、という話になってくる。

ライトな聴き方をする人は、そのアーティストの再生数が伸びているYoutubeの楽曲を聞くだろうし、ストリーミング配信の人気ランキングからリコメンドして楽曲を再生するような聴き方をすることもあると思われる。

何が言いたいのかというと、そもそもベストアルバムを売ることが儲けになるという考えに固執している点で、レコード会社のヤバさが見えてくるし、頂いた権利の中で少しでも利益を出そうとするJASRAC的発想の儲け方しかレコード会社ができないのであれば、レコード会社に明るい未来はない気がするというわけだ。

だから、ベストアルバムは前か悪かなんて発想はもう古い。

もっと別次元で考えた方がいいということだ。

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いま、日本の音楽シーンはすごくガラパゴス化している。

日本の音楽ファンは世界の音楽に関心を示さないし、世界の音楽は(一部を除いて)日本の音楽に関心を示さない。

結果、日本のアーティストは世界の音楽ファンに売れることと、日本の音楽ファンに売れることは別のこととして考えている。

ワンオクの新譜がまさにそれを物語っている。

別にそれが悪いことだとは思わないが、儲けることを考えたら変に海外の要素は取り入れず、内向きを志向した方がいい、という発想は音楽の未来を考えると、あまり良いことではないように思う。

そして、日本人の音楽リスナーというパイは今後大きくなることはないのだから、日本人からお金を毟るとるならフリーでもいいからたくさんの人に聴いてもらうというような戦略ではなく、音源にたどり着くまでに金銭的障壁をがっつり設けて、そのことを苦に感じないヘビーなリスナーから、よりたくさんお金を取るような作戦をとることになる。

そんなことをすれば、なおのこと音楽というジャンルを内向きに向かわせる。

そのうち「君、音楽なんて聴いてるの?珍しいね?ってか、いまどき音楽聴くとか正直ダサくない?」みたいな世の中になる可能性だってある。

スマホユーザーがガラケーユーザーをバカにするように。

そんな未来だって全然あり得るのだ。

多様性を担保するという意味で、人の数だけ趣味がある、というのは良いことかもしれないが、音楽の社会的価値が堕落していくのは、音楽が好きな人間からすれば正直面白くない。

なので、ベストアルバムが善か悪かなんてつまらない考えはもうやめて、もっと遠くの方をみてみようよ、って感じちゃう、一人のリスナーの、くだらない意見。

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