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Twitterの質問箱に細かく応えていた時期があるんだけど、その中でよく出てきた質問のひとつに「○○というバンドはどうしたら売れますか?今後、○○はどうしたら売れますか?」というものがあった。

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知らん。俺にはわからん。それがわかっていれば、カリスマの占い師か、エンタメ界の重鎮としての道を歩んでいる。

そんな僕は現在、広告代理店で細々と働いている。

まあ、広告代理店で働いてはいるから「どうすればそれは売れるのか?」という命題自体にはわりとよく取り組むし、自分なりに色々と考えもする。

今の仕事内容をざっくり言えば、ある商品をよりたくさんの人に認知させるにはどんな媒体でどんな枠で展開するのかが望ましいかをヒアリングしながらクライアントに提案をしていき、媒体が決まればその枠を抑えたうえで、納品までのスケジュールを逆算しながら、その広告のビジュアルの内容を詰めていく。(モノによっては枠を先に抑えてそれをセールスしていくパターンもあるが)

そして、広告する商品を欲しいと思ってもらうようなトリガーをどのように表現するのか?「売れる」ためのロジックをどのようにデザインしていくのか?「ほら、僕たち、こんなにちゃんとクライアントのこと考えてるんですよ?」感のあるビジュアルにどのように仕立てあげていくのか、を考えながら広告物を形にしていくわけである。(もちろん、実態としてはもう少し複雑だけど)

広告とバンドという違いはあるものの、仮説を立てて戦略を練り、それを形としてどう落とし込むのか?という意味では似てる部分もある。

もちろん、どれだけ戦略を練ったところで、本当の意味での解が出ることはないし、それが簡単に出せるなら苦労なんてしないし、出すことなんて絶対にできないからこそビジネスもバンドも人生も面白いのである、と言えるかもしれない。

それはさておき。

出ないからと言ってまったく考えないのはただの思考停止であり、わからないなりに仮説をたてて、実行→修正→ブラッシュアップした新たな仮説の提示→再び実行、というサイクルを繰り返しをしていくことでしか、物事は前に進んでいかない。

で、まずは仮説をたてるために、なんとなく邦ロックシーンを眺めていたら、こういうタイプのバンドがトレンドになりつつあるし売れがちだよね、みたいな法則はうっすらと見えるわけだ。

「流行りのロックバンド」が好きな人なら、言わんとすることはわかると思う。

けれど、そういう要素を真似たら売れるのかといえば、そんなことはないし、そんなレッドオーシャンな音楽作りをしていたら磨耗するのは目に見えている。

どちらかといえば、トレンドがこうあるからこそ、あえて「売れることの王道」とは違う道を走り、そこで個性を確立して売れるというパターンもある。

ビジネスっぽく言えば、ブルーオーシャン戦略をとるわけだ。

このように、ちょっと普段とは違う視点で邦ロックを捉え直すと、また違った見方が提示できるんじゃないか?というのが、今回の記事の肝である。

論考を進めていこう。

「なれないものにはなれない」

例えば、スピッツは昔、ブルーハーツに憧れてパンクっぽいバンドになろうとして、無理矢理に尖ろうとしたことがあるんだけど、どうもそれは板につかず、自分たちには無理だと思い、やめてしまったらしい。

あるいは、BRAHMANの場合、自分たちは音楽的才能なんてないし、歌も演奏もヘタクソだと実感していたから、そこでの勝負は諦め、パンクという土台で勝負することを選んだ後、身体的部分を研ぎ澄ましてみたり、楽曲を「王道」から外した構成をしたり、民族的音楽の素養を足してみたりすることで、己の個性を確立したというエピソードがある。

ヤバTも技術では勝負できない自覚があったからこそ、アイデアや魅せ方、キャラクター性を考えながらライブを行っているフシがある。

憧れを持つのは良いことだし、そこに向かって努力するのはすごく大事だけど、やっぱりなれないものにはどうしたってなれない、という現実がある。

それを受け入れたうえで、ならば自分はどうするのか?という視点で物事を捉え直し、レッドオーシャンな道筋からブルーオーシャンな道筋に移行することが大事なのである。

そう。良い意味で諦めることがすごく大事なのだ。

だって、ブレイクするうえで一番考えなければならないことは「差別化」なのであって、目標に近づくことでも、脳内にある表現したい音をその通りに表現することでもないのだから。

その視点はいつだって強く持つべきだと思う。

チケットぴあ

「じゃあ差別化ってどうするの?」

これまた、それが分かれば苦労はしないよ、な話ではあるんだけど。

ただ、バンドの要素って大きく分けて三つに分けられると思う。

それは、

・音楽性
・パーソナリティ
・オリジナリティ

である。

音楽性とは言わずもがな、どんな音楽を鳴らすのか(作るのか)ということである。

パンク系なのか、ラウド系なのか、メタル系なのか、みたいな話。

そこからもう少し細分化していけば

・メロディー
・歌詞
・ボーカル
・サウンド

で考えられる。

どんなメロディーを、どんな歌詞で、どんな歌声のやつが、どんなサウンドに乗っけて歌うのか。

この組み合わせこそが、そのバンドの「音楽性」となるのである。

パーソナリティとは、見た目とか、キャラクター性とか、この人はきっとこういう性格に違いないみたいなイメージの部分。

草野マサムネなら草食系っぽいのに変態っぽそうとか、トシロウなら怖くていかついけど実は優しそうとか、そういう感じ。

これは細分化すると、基本こうなる。

・ルックス
・キャラクター(イメージ)

この二つでパーソナリティーは大体決まる。

キャラクター性をどう担保するのかは考えどころで、基本的には先ほど述べた歌詞にキャラクター性をつけるのがひとつ、SNSなどでそのキャラクター性を強化していくのがひとつ、そこで作ったキャラクター性に見合ったライブパフォーマンスしていく、というのが王道の流れなのかなーという気はする。

そうなのだ。

このように、音楽性とパーソナリティに掛け算をしていくことで、オリジナリティは出てくる。

けれど、人間って思っているほど個性なんてないものである。

と言うより、自分が個性なんて思っているものは実は個性じゃないし、自分は変わりものですと思っていようがいなかろうが、世の中、変わりものじゃない人なんていないと思うのだ。

普通に見える人がいるとすれば、その人は自分の「やばいところ」を隠しているだけであり、普通の人であることを演じているだけなのだ、絶対に。

話がそれた。

音楽における個性の話に戻すと、ボーカルの声に特徴があれば、それだけでオリジナリティになるわけだけど、どこにでもあるような声のボーカルなら、見た目で差別化を出すのか、パフォーマンスに差別化を出すのか、歌い方に差別化を出すのか、ここで差別化を出すのは諦めるか、みたいに分析と戦略立てが必要となってくる。

マーケティングっぽい話をするなら、どのレベルのコミュニティに届けることを想定するかで、この戦略の仕方が変わる。

極端な話、バンギャに媚を売りたいならガチガチにメイクをして身なりを整えるという戦略を取る必要があるし、パンクロック好きに認めてもらえたらとりあえず良い、って感じならパフォーマンスと歌い方に絞って作戦を練ればいいかな?みたいな話になる。

広い空間の中を想定すればするほど、個性を出すのは難しくなるので、最初はできるだけ、小さなコミニュティを想定し、そこで自分らしさを探していけばいい。

例えば、数千万以上アカウントがあるTwitte全体で自分の個性を出す、ってなったら大変な話だけど、フォロワー内で自分の個性を出す、って考えたらそこまで難しくはないと思うのだ。

もちろん、どんな個性も、実行→修正→ブラッシュアップのサイクルは必要であるが、それが個性と思い込めば、不思議と板についてくるものである。

「で、個性ってどう作るの?」

さて、個性ってどう作ったらいいの?という話だけど。

実は、リビジョンであれ、CHAIであれ、tetoであれ、サニカーであれ、ちゃんとそこを意識してライブ・作品作りをしているので、そういうサンプルを抜き出して考えてみるのも良いかもしれないけれど、ここで少し違う提示をしてみたい。

あなたの「好き」を活かせ。

これですよ、これ。個性作りにはこれが大事。

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例えば、Twitterのアカウントであなたが個性を出してる最初の要素って「趣味」だと思うのだ。

だって、音楽が好きで、趣味の音楽を全面に出せば、それは無色のアカウントから音垢に変わる。

数千万以上あるTwitterアカウントとの大きな「差別化」となり、アカウントに個性が宿り、Twitterのどこのコミュニティに在籍したらいいのかが簡単に見えるし、相手もたったこれだけの情報開示で、あなたのことを受け入れてくれやすくなる。

これって実はすごいことだ。

好きを提示しただけで個性になってるんだから。

そこからさらに、好きなバンドを具体的に列挙すれば、よりアカウントとしての個性がどんどん磨かれる。

実際、ここまで差別化して、個性を出せば「より繋がりやすくなるし、フォローしてもらいやすくなる」と思うのだ。

これは、差別化ができて、個性が出ているからに他ならない。

あるいは、下ネタが好きだから下ネタを全面に出していればそれも個性になるし、僕のTwitterアカウントみたいに「ふざけながら分析めいたこと」ばかり呟いていれば、なんとなくそれが個性っぽい感じになっていく。(これも僕がそういうことをするのが好きだから継続できていることである)

好きをわかりやすく提示していけば、それだけで個性となる。

結局、好き=趣味=フェチズムはかなりの共犯関係にあり、その要素こそが拭い去ることのできない個性の裏返しとなるわけだ。

草野マサムネもトシロウもヤバTも「演じてる部分」はあるにせよ、自分の趣味やフェチズムをさらけ出しているからこそ、ああこの人はきっとこういう人なんだと理解してもらいやすくなり、ファンができていく。

ビジネスでもバンドでも「他人から見える人になること」はすごく大事で、評価されるというのはつまるところ、そういうことなのだという意識は持っておいた方がいい。

インディーズバンドである、ということ以外に個性がないバンドが多すぎるのだ。埋没するな。無色のTwitterアカウントなんて誰もフォローしないだろ?好きを全面に出して個性出してフォローされる人間になれ。まずは。

ちなみに、モテるとかモテないもこの話にリンクするんだけど、それは話が脱線するので、ここでは割愛することにする。

とにかく、このようにして、個性の確立=差別化が鮮明になれば、人のフックに引っかかる可能性が生まれるわけだ。

エンタメでメシを食おうと志すには、まずはそれがとても大事になるし、これがあればチャンスは大きく広がるはずである。

「感情の揺れ動き=エモを大事にする」

ファンがそのバンドを好きになるときって、理屈ではなく感情としてそう思うから、ってのがあると思う。

なんでそういう感情になったのか、ということを後からロジカルに考えることはできるけれど、感情が0から1に動いたその瞬間って、やっぱり理屈で語れない何かがあって。

恋愛で人を好きになるときだって、そういうもんだと思うし。

で、一度好きになってしまったらもうどうしようもない。

だって、好きなんだから。

それが絶対的な理屈になるわけだ。

ところで、このファンって色んなタイプがいると思うけれど、大きく分けて二つのタイプがいると思う。

・盲目的ファン
・そのバンドに求める「役割」が好きなファン

盲目的なファンは、そのバンドが何をやっても基本的に褒める。

ガチ恋したファンは大体こんな感じなのかなーって思うし、こういうファンほどお金を落としてくれる。ただ盲目的であるが故に、妄想が暴走してる人もいてちょっと怖い。

逆に、そのバンドの「役割」に好きを求めている人は、そのバンドが変われば、あの頃が良かったのにーとか言いながらそっと離れることが多い。

今のWANIMAなんてそういう「分岐点に立たされているファン」が多いのかなーって思う。

俺たちがWANIMAに求めていたのは○○だったのに、メジャーに行ってから○○がなくなったから冷めてしまったみたいな話。

そのバンドに求めていた役割が、今の活動から見出せなくなったら、ファンを辞めてしまうわけだ。

これも恋愛と似てる部分がある。

なんかよくわからんけどあなたのことめっちゃ好き!!って依存レベルの好きに陥れば、裏切る裏切らないの話にならない限りは、何をやっても認めてくれることが多い。

けれど、この人が好きなのは「スマートでカッコいいから」とか「お金を持っててなんでも奢ってくれるから」みたいに「具体的な役割」がある場合は、その人がその「役割」を果たせなくなると、冷める可能性が高い。

で、ここでいう「役割」とは、前項で述べた個性やオリジナリティと紐つく話でもある。

バンドが個性を出せば、ファンはその個性に共鳴して好きを生み出す。

バンドマン側は、それを物語として上手くデザインしていき、綺麗にひとつの線に繋げていく。

これが大事なのだ。

少し話がそれるが、岡崎体育がファンクラブで炎上したのは、この線の繋ぎ方が上手くできなかったからだと思う。

まあ、結局のところ、戦略性が大事だよね、って話で。

「まとめ」

とはいえ、あんまりマーケティング的に音楽を考えるのはどうかという話もあり、全て己の感性で曲を作ってる感のある米津玄師が誰よりも売れて、誰よりも自由を手に入れてる現状を考えると、余計なことは考えずに、自分の信じてるものを形にして、良いものを世の中に提示するというのが大事であり、絶対的正義なのである、という考えもある。

一応、タイトルの回収をするならば、この記事で提示するブレイクするためのたったひとつの方法とは「見える人になるということ」である。(ちなみにこれ、就活の面接や大企業で生き抜いていくうえで必も要となる、とても大事な技術だったりする)

まあ、多分最後まできちんと本文を読んでいるバンドマンの彼女なんて少数だとは思うけど、ご興味がある方は、ぜひあなたの彼氏のバンドのコンサルンディングやらせてください、っていう、そういうオチ。

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