LINEで送る
Pocket

若手バンド(アーティスト)の活躍や考察を色んな媒体で、述べられおり、特にWANIMAとか岡崎体育はわりと文章化されているイメージがある。

スポンサーリンク

が、個人的にはもっとスリリングかつ、今もっとも若手バンドで語れるべきバンドは、THE ORAL CIGARETTESだと思っている。

あくまでも僕の実感だが、オーラルのおかげで音楽を聴くきっかけになった人の数はけっこう多いと思うし、それまでロックというジャンルに関心がなかった人たちすらもファンとして取り込んでいる感じがするのがオーラルの凄さ。

フェスシーンにおいて、オーラルファンが叩かれがちだったりするが、それはつまるところ、それだけファンの母体が多いということ、フェスに参加している人の中でオーラルのファン数が多いということの表れでもあるわけで、結果としてそれは、オーラルがシーンに与えている影響力が大きいことを示しているわけである。

というわけで、オーラルの何が凄いのか、なんでそんなにたくさんの人に刺さるのかを改めて考えてみたいと思う。

ボーカルについて

多くの聴衆を魅了する人気バンドのボーカルは、サビ後のロングトーンに特徴的な人が多い。

例えば、BUMPなら「オーイエアハーン」、ポルノなら「ヒィイッヒィ〜〜〜〜〜〜ッ」と、言語化してもそれとわかる声の「表情」があるわけだ。

オーラルのボーカルであるやまたくも、ボーカルにおける表情の豊かさは随一であり、この辺が他の若手バンドとの大きな違いだと思う。

僕の認識では、フォーリミやKEYTALKはボーカルの表情が乏しく、WANIMAやオーラルはボーカルの表情が豊かだと感じる。

ボーカルの表情が豊かだと、ライブの空気はエモーショナルなものになるし、MCでの熱量や説得力もより強いものになりがちである。

「トナリアウ」はラルクっぽいと揶揄されたやまたくのボーカルだが、「BLACK MEMORY」ではそんな指摘は一切ない。

なぜなら、やまたくのボーカルは誰かのマネをして作り上げているものではなく、楽曲に合わせて声の表情を変えており、「トナリアウ」では、たまたまラルクっぽいテイストが楽曲に合うと考えたから、そういう歌い方をしたに過ぎないわけである。

つまり、それだけやまたくの歌い方の引き出しは多く、ボーカルの表情も豊かだというわけである。

さて、ボーカルの「表情」が一番よく出るのは、サビのロングトーンだと思われる。

やまたくはボーカルの「表情」に相当自覚的だからこそ、サビでもメロディーは極力伸ばせるように作曲をしているように感じる。

例えば、「起死回生STORY」は楽曲中に「STORY」という単語が10回出てくるが、「STORY」という単語のメロディー部分は、全箇所3秒ほどの時間を使って、歌っている。

つまり、それほど「STORY」の音を伸ばして聴かせているというわけだ。

「気づけよBaby」の「Baby」も、しっかり音を伸ばして「表情」を出そうとしており、「ベ」「イ」「ベ」「エ」と4音とも母音含めてしっかりと発音をしている。

楽曲の装いとしては疾走感を大事にしつつも、ボーカルだけてみれば、きっちりと音を伸ばして「聴かせる」ようにして、ボーカルの表情をしっかりと見せつける。

ノリやリズムではなく、メロディーやボーカルを大事にしているからこそ、オーラルは一歩抜きん出たバンドなのかもしれない。

スポンサーリンク

ボーカルについて その2

一方で、やまたくは、母音の音に違う音を混ぜたがるクセもある。

例えば、「mist…」の母ちゃんという歌詞でいえば、母ちゃんの「Ka」の部分に、eの音を混ぜて、半分「けーちゃん」と聴こえるように発音をしている。

「5150」の最初のサビは「あとどのくらい〜」という歌詞であり、最初の音は「A」になるはずだが、どう聴いても「O」の音も混ぜて、「おとどのくらい〜」と発音しているように聴こえる。

母音に違う音を混ぜるとナルシストっぽく聴こえたり、甘ったるく聴こえたりするわけで、こういう「改変」がオーラルの世界観を確固たるものにしている(人によってはV系っぽく聴こえる)所以なのかもしれない。

やまたくの声はどっかのボーカルのように、天然でオーイエアハーンな響きを生むことはないが、ボーカルに表情を与えやすくするために、長めの音をサビに入れ込んだり、発音を「改変」したりすることで「揺らぎ」を与えるわけである。

あと、CD音源では自分の声を多重に重ねることで、より「揺らぎ」をわかりやすくしている算段もあるように感じる。

とにかくオーラルは、ボーカルをどう魅せるかの工夫が、その辺のバンドよりも計算されているということである。

ドラムについて

オーラルのリズムパターンは基本、メロ→サビでドラムの音数を倍にして疾走感を出すタイプである。

このサビのわかりやすい疾走感が、やたらとサークルやリフトを生み出しやすい根源だったりするわけだ。

あと、ほとんどのシングル曲は、サビ前で全楽器隊の音を止める。

で、メロからサビの無音のまたぎは、絶対にやまたくのボーカルなのである。

「気づけよ」とか「起死回生」といった感じで、やまたくのボーカルでサビに入り、やまたくソロボーカル中に、他の楽器はエフェクターを踏んだりして音圧を上げる準備をして、やまたくが次の単語を発音するそのタイミングで、楽器隊がばちこーんと音を鳴らすわけである。

オーラルのサビ入りは一転集約盛り上がり型だからこそ、ダイブの入りがわかりやすいので、そこめがけて転がる人が続出する実態も出ていたりするわけだが。

あと、メロ部分はけっこうドラムパターンを細かく変化させているのに対し、サビは同じリズムパターンをキープしがちなのもオーラルの楽曲の特徴である。

メロまでは聴き手を飽きさせず、聴き手の気持ちを高揚させるように、あの手この手でリズムのパターンに揺さぶりをかけるわけだが、サビではやまたくの色気あるボーカルが一番の脚光を浴びるよう、あえて余計な小細工はしないような作り方がされている感じがする。

やまたくのボーカルが集約だとわかっており、そこの魅せ方がわかっているからこそ、オーラルの楽曲は魅了的なのかもしれない。

まとめ

そんな上記の要素全ての入れ込んでいるお贈りするのが、新曲の「BLACK MEMORY」なのである。

今作は映画のタイアップもあって、「外さない」楽曲を作る必要があったため、オーラル的なベタがふんだんに詰め込まれた渾身の一作となっているのである。

なお、「BLACK MEMORY」はイントロ、メロ、サビ全てで後ろの2小節(?)にハイハットの7連打を入れたりするなど、かなり細かい単位で音のパターンに変化を加えることで、少しでも飽きさせない楽曲をパッケージさせるオーラルの真骨頂となっていたりする(そもそも、細かい単位でリズムパターンを変えるバンドが今のフェスシーンで勝ち上がっていたりするわけだが、その辺りの話はまた別の機会に)

まあ、顔だけじゃないからこそオーラルは凄いんだよという、まあそういう話なのでした。

スポンサーリンク

LINEで送る
Pocket