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ゆずの新譜についての感想。

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爽やかフォークデュオという肩書きでデビューしたのも20年前の話。

毎回アルバムごとに色んなサウンドにチャレンジする彼らであるが、今作の特徴は打ち込みサウンド(電子音)が効果的に使われているところではなかろうか。

とはいえ、こってりEDM仕様になっているかというとそういうわけではなく、電子音の美味しいところだけを取り込んでいるようはサウンド作りをしている。

思えば、ゆずのサウンドが大きく変わったのは同期といっても差し支えのないコブクロが台頭してきた頃ではなかっただろうか。

コブクロはスピッツの黄金期にプロデュースを担当していた笹路正徳プロデュースのもと、デビュー曲「YELL」で鮮烈なデビューを飾る。

が、そのあとはこれといったヒット曲をつくることができず、そろそろ静かに消えていってしまうのではないかと危惧されていた折、セルフプロデュースで「永遠にともに」をリリース。

これが某お笑い芸人の結婚式で歌われたこともあり、大ヒットを記録する。

2004年10月頃の話である。

そう。

ゆずはまさしくコブクロの2度目の台頭のタイミングで大きくサウンドの方向性が変わったのだ。

それまでのゆずは寺岡呼人との共同プロデュースのもと、フォークとポップスを見事に融合した上質な音楽を作っていた。

もちろん、「トビラ」のようにアルバムごとの特色は違っていたが、「音の根本」にアコギとハープ(ハーモニカ)だったことは間違いない。

閑話休題。

ゆずが2004年の最後に全国流通CDとしてリリースしたのが「栄光の架け橋」。

そして、次のリリースが1年4ヶ月後の「超特急」となる。

ゆずのリリースで1年以上ものの間が空いたのは、これが初めてである。

しかもこの後、2006年の頭に「リボン」というアルバムをリリースするが、リリースされたシングル曲はこの「超特急」だけなのである。

つまり、ゆず史上もっともリリースされた曲が少ない一年だったのだ。

この「リボン」の後、ゆずのアルバムとしての路線は明らかに変わった。

「WONDERFUL WORLD」「FURUSATO」「2-NI-」。

大量にシングル曲を収録、インストソングを採用、タイトルは英字になり、若干のアイドル路線も含めつつ。

プロデュースも今までは寺岡呼人と組み行っていたが、蔦屋好位置をメインのプロデューサーとして起用するようになる。

また、この蔦屋プロデュースの時期あたりから、それまでほとんどメディアの露出にしてこなかった彼らが音楽番組に出演するようになる。(北川にいたっては月9の主演まで務めたのだからすごい話である)。

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と、長々とゆずの遍歴を綴ってしまったが、要はゆずの「戦略」が明らかに変わった理由のひとつとして、コブクロの躍進は少なからず影響していたのではないか、という話である。

だが、今回の「TOWA」はそういう文脈とはまた違う意味で、今までの彼らのアルバムと違う感触があったりする。

まず、彼らの今回のアルバムの表題曲は「TOWA」であることは間違いない(アルバムタイトルになっているわけだし)のだが、今回その曲が11番目というなんとも中途半端な位置に収録されている。

今までのゆずのアルバムなら表題曲は基本的にアルバムの先頭か一番後ろに収録されることが常だったのに。

理由は、アルバムの発売のタイミングに大きく関わっている。

当初、10月ごろに発売される予定だったこのアルバムはツアーが終わってから発売されることに決まった。

アルバムツアーでありながら、そのアルバムはツアーが終わってからという異例のやり方を行ったのだ。

この理由は音楽雑誌などで語られているので参照してほしいところだが、ライブをやっことにより、TOWAは最後ではなく、早めに持ってきたいという話になったらしい。

また、北川は今までアルバムのコンセプトをすごく大事にしてきていたが、「た Ri ナ ぃ」という楽曲を通じてメッセージを発している。

曰く、「言葉の持つ意味がどんどん希薄化して記号として受け取るようになっている」と。

たしかにゆずがメジャーデビューした1998年は、もっとも日本でCDが売れた年であり、それ以降どんどんCDの売り上げが減少してきている。

この20年間、常に音楽の第一線で活動してきた彼らは、音楽消費の変わり方をダイレクトで感じてきたのであろう。

その解答のひとつが、このアルバムなのだと思う。

今となっては世代を横断できる数少ないアーティストであり、ラ老若男女が楽しめるライブパフォーマンスを行える稀有な存在である。

音楽そのものが島宇宙化してしまい、その年で「みんなが知っている曲」が限りなく0になってきた今だからこそ、色んな世代にファンを抱えるゆずが、どのようなメッセージを出すのか興味深いのである。

そして、そんなゆずが音として出してきた答えは、流行りの電子音だったということ。

でも、それは単に電子音にのるのではなく、フォークと二人の歌声があるからこそ成立するアルバムだったようにも感じるわけだ。

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