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ふと、くるりの岸田繁のTwitterをみると、こんなことを呟いていた。

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僕は月あたり20枚、佐藤は30枚ほどCDを買ってます。コレ自慢でも何でもなく、意地です。最早アホですよ。他の方法で稼ぐことも出来ますが、自分達は出来るだけTシャツよりCD売りたいから、意地です。だから、大手レコード会社やレコード店も意地を見せてほしいのです。

この話には色々と流れがあって、その流れのなかで、岸田繁がレコード会社等に不満を垂れており、このツイートはその一部分なのである。

岸田の話自体を掘り下げるつもりは別になくて、今回、この記事で言いたいのは、バンドマンやアーティストはいつしか音楽屋さんではなく、Tシャツ屋さんになってしまったよね、という話である。

ライブには基本アンコールがある。

YUKIとかBUMPみたいにアンコールを求めるためのお決まりの歌が決まっている場合、多くのファンはその歌を歌いながら再びアーティストがステージに登場するのを待つわけだが、そういうのがない場合、基本アンコールを求めるときは手拍子をするのがベターである。

ちなみにアンコールでは歌うのが一般的なアーティストのファンでも、歌ってアンコールをするのは絶対嫌だって奴もいたりする。

そういう奴はいかにして歌うことを防いで手拍子アンコールに持っていくか、みたいな策略を練るわけだが、大抵それは徒労に終わる。

また、そんなに大きくないライブハウスでのアンコールであれば、手拍子ではなく口頭で「ワンモアー」と叫ぶ奴もいる。

声を張り上げたら、裏にその声届くもんね。

要はそのときの客のテンションとか空気でアンコールは様相は変わるわけだ。

で、その間、アーティストサイドは何をしているのかというと、汗を拭いたり、水分補給したりして、呼吸を整えている。

Perfumeみたいな超演出派の場合は、ステージから下がってちる間も次の仕込みとかをして、バリバリ労働モードだったりするんだけども。

まあ、それは例外としておこう。

ちなみに、汗を吹いたり水分補給したりした、どのアーティストも絶対にやるのがお着替えであり、物販でTシャツを販売していたら、それに着替えて登場するわけた。

そして、最初のMCでこんなことを言う。

「僕が着てるこのシャツ、みんなも買ってね」

売れてないバンドなんかだと「グッズだけでもいいので見ていってください」みたいなことを言ったりする。

いやいやいやいやいやいや。

いま、ライブ観てましたやん俺ら。「だけ」ではないでしょ「だけ」では、ライブも見てたやん、プラスアルファやん、なんならもうグッズもみたし色々見てきたわ、なめんなよボケ!みたいなツッコミ待ったなしのMCをする人もいるわけだ。

要は、バンドやアーティストは音源の宣伝する以上に、グッズの、特にTシャツの宣伝をする。

それが大きな収入源になるからだ。

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でも、これって変な話である。

アーティストは音楽屋さんだ。

自分の作った音楽やライブをいっぱい宣伝するのはわかる。

けど、自分が作ったわけではないTシャツを執拗に宣伝するのはなんか変だ。

これでは、アーティストは音楽屋さんではなく、まるでTシャツ屋さんである。

このような現状を揶揄し、生まれたのが、ヤバイTシャツ屋さんというバンドである。(本当だったら批評性バツグンだけど、多分違う)

俺たちはバンドやなくて、Tシャツ屋さんやねん!みんなバンドマンのふりしてるけど、やってることはTシャツ屋さんやねん、的なことを彼らが言ってたら最高にクレイジーである。

でも、そんなことになってしまうのも仕方ないことなのかもしれない。

なぜなら、アーティストが宣伝するのをあきらめたくなるくらい音源は売れなくなっているからである。

色んな要因があるし、そもそも90年代の売れ方が異常だったのだという指摘もある。

そうなのかもしれない。

でも、理由はどうあれ、作る側からすれば、音源を作るにはお金がいるわけで、黒字にしなければ新譜の製作はできなくなる。

実際問題、レコード会社の売り上げがどんどん減っていき、体力がなくなっているので、売れるアーティスト(売れそうなアーティスト)しか囲わなくなり、ニッチなバンドや、音は良いけど大衆の受けは良くなさそうなアーティストの面倒を見てくれるようなところは減っていっている。

才能はあるのに、活動するチャンスすら与えられなくなってしまっている現状があるわけだ。

そんななか、ぼくりりくんとかSuchmosみたいなアーティストが陽の目を見るのは良いことである(音楽的に受けてるというよりキャラ受けしている部分が強いのは否めないが)

ちなみに、アーティストやメーカーの社員ですら平気で「最近はCD買ってない」と言う世の中である。

そんな状況で、逆に誰が音源を買うというのだろうか。

そりゃあ、ようつべで音源を聴くだけでも満足はできる。

LINE ミュージックでも無料でそれなりに音源を聴ける(そして、有料となれば、なんで音楽が無料じゃないの?と目くじらを立てる人がそれなりにいるのもまた現実)。

そう言えば、ぼくりりくんもクラウドファンディングを発表したとき、「お金を払ったら音源をプレゼントします」と告知したとき、とあるファンと名乗る人から、「ファンなのにお金を払わないと音源を聴けないんですか?」と仰天するような文句を言ってきた人がいたというエピソードがある。

そのあと、ぼくりりくんはその人に滔々と資本主義というものについて説いたらしいが、意外とこういう価値観が「普通」になるのはそう遠い未来ではないのかもしれない。

そりゃあ、タダで聴けるならタダで聴けるにこしたことはないのかもしれない。

けれど、広い視野に立てば、それの危険性は明白なわけである。

とはいえ、CDバブルはもうこない。

あの頃にはもう戻れないわけだ。

やがて音源は空気のようなものなってしまう日がくるのだろう。(まあ、その頃には「綺麗な空気」はお金払わないと吸えないような世の中になっているのかもしれないが)

これからは、アーティストは音楽屋ではなくTシャツ屋さんになる必要がある。

その傾向は強くなっていくだろう。

だからこそ、アーティストはキャラクター性を担保したり、物語共有させるようなシステムを作ったり、インスタを活用しまくってアート系の一人者みたいな地位を築く必要性が出てくる。

それが良いとか悪いとか言うのではない。

ただちょった寂しいだけなのである。

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